情報処理の一環として記憶法を実践し、とくに想起訓練を日々おこなうようにします。
わたしが高校生のときに、筆記試験中にカンニングをしてつかまった生徒がいました。おもいだせないからカンニングをする、記憶できていないから教科書をみたくなる。

一方で教師の方も、記憶法を体系的にまなんだことのある者はおらず、どうすれば記憶ができるようになるのか? わかっていないため指導ができませんでした。わからないから監視をする、管理するしかありませんでした。

記憶法は、「記銘→保持→想起」という3つの場面からなりたっています。そしてこの記憶法を、情報処理(インプット→プロセシング→アウトプット)のなかのプロセシングに位置づけて実践することが大事です(図1)。

170610 記憶法
図1 記憶法のしくみ


たとえば本を1冊よみます。これは情報の内面ヘのインプットです。つぎに、たとえばその本のなかのキーワードを約10語えらびだし、それらをマーキング(ハイライト)して、そのページをじっくり見ます。これは情報の記銘です。ページをカメラでうつしとるように、イメージとして視覚的に記銘します。

そして寝ます。睡眠により情報の保持がすすみます。

そして起きてから、キーワードや本のページを想起しながら、要点・要約・感想・考察などを書きだします。これはアウトプットです(注1)。

このアウトプットのときに、まずは、本をひらかないで閉じたまま、内容をおもいだしながら書きだすのがポイントです。どこまでおもいだせるでしょうか? どこまで書きだせるでしょうか? おもいだしながら書きだすことは想起訓練になります。

そしてもうこれ以上はおもいだせない、書きだせないといった段階になったら、そのときにはじめて本をひらき、内容を確認し、文章を修正し、加筆するようにします。

このような想起訓練を日ごろからやっていれば想起力がつよまり、アウトプットが容易になります。筆記試験のときにもらくらくと気持ちよくおもいだせるようになります。おのずと得点もあがります。

よくある勉強法として、本をひらいて書きうつしている人がいますが、これは、コピーしているだけで想起訓練になりません。まずは、本をみないでおもいだして書きだす努力をします。




インターネットとデバイスが高度に発達した今日、たいていのことは検索によってでてきます。無理に記憶しておかなくてもよい状況が以前よりも増えてきました(注2)。したがってインプットと暗記にかたよりすぎた従来の学校教育や受験勉強はもはや時代おくれになっています。

そこで情報処理の一環として記憶法をとらえなおすことが重要です。情報処理をすすめ、よくできたアウトプットをするために記憶法をつかうということです。


▼ 注1
睡眠を利用した記憶法とアウトプットを実践していると、キーワードがおもいだせるだけでなく、それらのよい組みあわせが自然にみつかって、キーワードをつかった文章化がスムーズにできるようになります。

▼ 注2
これからの時代は、コンピューターでできることはコンピューターでやり、コンピューターではできなことは人間がやるようになります。