糖尿病は、飽食の時代の現代病であり、さまざまな合併症をひきおこすおそろしい疾患です。低カロリー食を野菜から食べ、また適度な運動をして予防します。
グラフィックサイエンスマガジン『Newton 2017.7号』から連載「現代人を悩ます五大疾病」がはじまりました。第1回として「忍び寄る糖尿病」と題し、糖尿病と肥満との関係、予防法について解説しています。


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五大疾病とはつぎのとおりです。

  • 糖尿病
  • ガン
  • 脳卒中
  • 急性心筋梗塞
  • 精神疾患 

2015年の糖尿病の患者数は全世界で4億1500万人にもおよび、2040年には6億5000万人にせまるといわれています。糖尿病は、飽食の時代がうんだ現代病だといえます。


糖尿病に対する予防・治療の三本柱は、「食事療法」、「運動療法」、そして「薬物療法」です。(中略)

食事療法で気をつけるべきことは、エネルギー量だけではありません。どのように食べるかも重要です。(中略)野菜を先に食べたほうが血糖値の上昇をおさえられる理由は、野菜に含まれる食物繊維が、糖質や脂質、コレステロールの消化、吸収を遅らせるためだと考えられています。(中略)

糖尿病予備軍といわれた方は、まず食事療法を行うよりも、日頃から意識的に運動、そして筋肉トレーニングを行うようにしましょう。

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糖尿病の予防のためには低カロリー食適度な運動が必要だということです。また炭水化物よりも先に野菜を食べるようにします。

糖尿病になってしまうと、眼・腎臓・神経を破壊する「糖尿病三大合併症」をひきおこします。糖尿病になると高血糖の状態がつづき血管の劣化がすすみ、さまざまな合併症をひきおこし、体全体をむしばんでいきます。

糖尿病とは、「血糖値」が、一定の基準をこえて高くなっている状態をさす疾患です。血糖値は、さまざまなホルモンによってコントロールされます。血糖値を上げるホルモンには、「グルカゴン」や「アドレナリン」「コルチゾール」など多くのものがありますが、下げるホルモンは「インスリン」ただひとつしかありません。

食物から摂取した炭水化物は、胃や腸などで分解されてブドウ糖(グルコース)となり血液中をながれていきます。この血液中のグルコースの量を「血糖値」といいます。

人間はかつては、自然のなかで狩猟採集生活をしていました。そのころは食物を手にいれるのが困難であったため血糖値を上げる必要があった一方、血糖値を下げる必要はありませんでした。しかし現代は、暴飲暴食、飽食の時代になり、血糖値を下げる必要にせまられているのです。

しかしわたしたちの体は、進化によってつくられてきたものであり、自由に変えることはできません。昔のままです。糖尿病にならないためには、狩猟採集生活をしていたころの食事や運動を参考にしなければなりません。




わたしたち人間は、環境から食物をとりいれ、それを体内でエネルギーにかえます。つまり、食物をインプットし、それを処理(プロセシング)して生きているのです。そしてそのエネルギーは何につかうのかといえば、大昔は、力仕事や運動のためにおもにつかいました。これはアウトプットのひとつとかんがえてもよいでしょう。

しかし飽食の時代になって、インプットとアウトプットのバランスがくずれてしまいました。プロセシングによる調整も限界をこえてしまいました。このようにかんがえると、糖尿病にかぎらず、バランスの崩壊がさまざまな病気をひきおこしているとおもえてきます。現代人は、低カロリー食と運動により、インプットとアウトプットのアンバランスの解消にせまられているのです。


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▼ 参考文献
『Newton 2017.7号』ニュートンプレス、2017年7月7日発行