アウトプットをすればインプットもおのずとすすみます。アウトプットを日々おこなうことが大事です。
わたしたち人間は基本的に、情報処理(インプット→プロセシング→アウトプット)をする存在です。

情報処理は、内面へのインプットからはじまりますが、訓練のためにはアウトプットをまずおこない、そしてアウトプットを毎日つづけることをおすすめします。するとインプット能力もおのずと向上します。

たとえば本を1冊よんだら、本を閉じて、要点や要約あるいは感想などを書きだしてみます。あるいは授業や講義をうけたら、それをふりかえって重要なポイントを書きだします。このとき、あなた自身のアウトプットをしてみることが大切です。教師が黒板に書いたことを書きうつす作業とは別におこないます(注)。

最初は3行でもいいのです。あるいはいそがしくて時間がなければ3行しか書きだせないかもしれませんが、アウトプットすること自体に意義があります。

先日、「本をよんでから、十分な睡眠をとったが情報処理がすすまなかった」といった人がいましたが、アウトプットができていないのです。アウトプットをしないから心のなかで情報がながれないのです。まず最初は、印象にのこったことを書きだすといったことでよいでしょう。このときに本を閉じて、あなたの心のなかから書きだすようにします。本のどこかの箇所を書きうつすのとはちがいます。

アウトプットすると、あらたなインプットがおのずとすすみます。たとえば呼吸をするときに、肺のなかにある息をまずすべてはきだしてしまう(アウトプットする)と、たくさんの空気がおのずとはいってきます(インプットされます)。アウトプットが不十分なのに、無理に息をすおうとしてもあまりすいこめず、浅い呼吸になり深呼吸はできません。

これとおなじで、アウトプットができていないとインプットもうまくできません。浅い情報処理でおわってしまいます。

学校教育や試験勉強・受験勉強がうまくいかないことがあるのは、知識のつめこみ、つまりインプットばかりやっているからです。アウトプットをしない、させないからです。アウトプットをしないと情報がながれず、あっぷあっぷしてきます。息がつまります。話をきいたり教科書をみたら、自分なりのアウトプットをしてみるのがよいでしょう。するとインプットと記憶もうまくできるようになります。

アウトプットをすると心がかるくなります。ブログなどに書きだしてしまえば、いつでも検索ができるので、そのことを無理におぼえておく必要がなくなります。情報を保持している必要がなくなります。コンピューターでいえば、RAM(Random Access Memory)にデータをおいておく必要がなくなって、メモリーの浪費がなくなり処理がすすむというようなことです。


▼ 注:追記
本を1冊よみおえたら(インプットしおわったら)、いったん本を閉じて、内容をおもいだしながら(心のなかから)書きだす(アウトプットする)のがポイントです。本のなかのどこかの箇所をみながら書きうつすのとはちがいます。書きうつすのは記憶の強化にはなるかもしれませんが、コピーしているだけで内面でのプロセシングがありません。〈インプット→プロセシング→アウトプット〉というながれが大事です。

あるいは授業をひとコマうけおわったら、教科書や資料などはみないで、授業の内容をおもいだしながら書きだすようにします。たとえば重要なポイントを3点、3分以内で箇条書きで書きだすといった簡単なことでも立派なアウトプットです。これをくりかえすだけでも情報処理能力が飛躍的に向上していきます。たとえば学校教育でも、授業の最後の3分間をつかってこのような練習を生徒にさせれば、学習効果が非常にあがります。

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