6つの気候帯に地球上を区分し、〈インプット→プロセシング→アウトプット〉に注目すれば、それぞれの地域の文化がみえてきます。意識の場が地球大にまでひろがり、情報処理がすすみます。
地球上の自然環境を端的にとらえるためにケッペンの気候区分がとても役立ちます。
ケッペンは5つの気候帯をしめしました。これに、アメリカの気候学者トレワーサが提案した高山気候をくわえると、気候により地球上が、6つの地域に区分できることになります(注1)。
地球(世界)の区分としては、アジア・ヨーロッパ・アフリカ・北アメリカ・南アメリカ・オセアニアという区分(六大州、六大陸とその周辺)が常識的ですが、自然環境と人間を一体のものとして体系的にあつかえるという観点からは気候帯による6区分の方が有効であり、発展性があります。
それぞれの気候帯(地域)でくらす人々は、自然環境から恩恵をうける一方、自然環境を利用・改善しながら独自の文化をはぐくんできました。自然環境と人間のあいだには相互作用があり、自然環境から人間への作用はインプット、人間から自然環境への作用はアウトプットとよぶことができます(図2)。
それぞれの気候帯(地域)をとらえるときに、この〈インプット→プロセシング→アウトプット〉に注目することが決定的に重要です。人々は、何をインプットし、どのようなプロセシングをおこない、何をアウトプットしてきたのか? これを知れば、そこでくらす人々の文化がみえてきます。文化には、自然環境と人間を介在する役割が本質的にあることもわかってきます(注3)。
このような見方は従来の六大州区分からはでてきません。常識からは発想はうまれません。また〈インプット→プロセシング→アウトプット〉に注目しないと地理学の知識習得にとどまってしまい、発展性がありません。情報処理に展開できません。
このような見方をすると、同一気候帯に属する人々は、はなれていても似たような生活様式をもっていることに気づかされます。たとえばおなじ温帯に属する日本と西ヨーロッパでは、意外にも、文化的に似たところあるいは共通性がもともとあります。ですから日本人と西ヨーロッパ人はおたがいに共鳴しやす側面があるのです(注4)。
このような見方をして、温帯にとどまらずに、熱帯や乾燥帯、冷帯や高山帯さらには寒帯にまで意識をひろげていけば、みずからの環境が地球大にまで大きくなってきます。そして実際に、それぞれの地域を旅行してみると、その地域やそこでくらす人々についてよく理解できるようになります。
また6つの気候帯をおさえておけば、地球全体を視野にいれた情報処理(インプット→プロセシング→アウトプット)がやりやすくなります。情報処理の場が地球大(グローバル)に拡大されるといってもよいでしょう。実際 人類は、そのようなあたらしい歴史的段階にはいってきているのです。
▼ 記事リンク
モデルをつかって気候帯をとらえる - 熱帯(『気候帯でみる! 自然環境〈1〉』)-
モデルをつかって気候帯をとらえる - 乾燥帯(『気候帯でみる! 自然環境〈2〉』)-
モデルをつかって気候帯をとらえる - 温帯(『気候帯でみる! 自然環境〈3〉』)-
モデルをつかって気候帯をとらえる - 冷帯(『気候帯でみる! 自然環境〈4〉』)-
モデルをつかって気候帯をとらえる - 高山気候(『気候帯でみる! 自然環境〈4〉』)-
モデルをつかって気候帯をとらえる - 寒帯(『気候帯でみる! 自然環境〈5〉』)-
▼ 注1
高山帯は、面積が小さいため図1では省略してあります。
▼ 注2
自然環境と人間の中間的な領域(境界領域)に文化は位置づけられます。この視覚的な見方が大事です。文化を、言語的・思想的にとらえるよりも先に視覚的にとらえなおそうというこころみです。
▼ 注3
文化とは、衣服、住居、道具、装備、農耕、牧畜、漁労、その他の技術などの総称です。たとえばそれぞれの気候帯における衣服や住居のちがいは国立民族学博物館を見学すれば一目瞭然です。 ほかの動物とちがって人間は、自然環境と直接して生きているのではありません。たとえば人間(身体)と自然環境のあいだには衣服があります。衣服は、それぞれの自然環境のなかですこしでも快適にすごせるように、それぞれに工夫されています。すこしでも快適に創造的に生きられるように、衣服からはじまってさまざまなな技術開発を人間はおこなってきました。これは文化の発展といってもよいでしょう。
▼ 注4
梅棹忠夫著『文明の生態史観』(中公文庫)も参考になります。
世界モデルを見て文明の全体像をつかむ 〜 梅棹忠夫著『文明の生態史観』〜
空間的に世界をとらえる - 梅棹忠夫編『文明の生態史観はいま』-
図1 ケッペンの世界の気候区分(出典:日本気象協会)
ケッペンは5つの気候帯をしめしました。これに、アメリカの気候学者トレワーサが提案した高山気候をくわえると、気候により地球上が、6つの地域に区分できることになります(注1)。
- 熱帯
- 乾燥帯
- 温帯
- 冷帯
- 高山帯
- 寒帯
地球(世界)の区分としては、アジア・ヨーロッパ・アフリカ・北アメリカ・南アメリカ・オセアニアという区分(六大州、六大陸とその周辺)が常識的ですが、自然環境と人間を一体のものとして体系的にあつかえるという観点からは気候帯による6区分の方が有効であり、発展性があります。
それぞれの気候帯(地域)でくらす人々は、自然環境から恩恵をうける一方、自然環境を利用・改善しながら独自の文化をはぐくんできました。自然環境と人間のあいだには相互作用があり、自然環境から人間への作用はインプット、人間から自然環境への作用はアウトプットとよぶことができます(図2)。
図2 自然環境と人間の相互作用
それぞれの気候帯(地域)をとらえるときに、この〈インプット→プロセシング→アウトプット〉に注目することが決定的に重要です。人々は、何をインプットし、どのようなプロセシングをおこない、何をアウトプットしてきたのか? これを知れば、そこでくらす人々の文化がみえてきます。文化には、自然環境と人間を介在する役割が本質的にあることもわかってきます(注3)。
このような見方は従来の六大州区分からはでてきません。常識からは発想はうまれません。また〈インプット→プロセシング→アウトプット〉に注目しないと地理学の知識習得にとどまってしまい、発展性がありません。情報処理に展開できません。
このような見方をすると、同一気候帯に属する人々は、はなれていても似たような生活様式をもっていることに気づかされます。たとえばおなじ温帯に属する日本と西ヨーロッパでは、意外にも、文化的に似たところあるいは共通性がもともとあります。ですから日本人と西ヨーロッパ人はおたがいに共鳴しやす側面があるのです(注4)。
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このような見方をして、温帯にとどまらずに、熱帯や乾燥帯、冷帯や高山帯さらには寒帯にまで意識をひろげていけば、みずからの環境が地球大にまで大きくなってきます。そして実際に、それぞれの地域を旅行してみると、その地域やそこでくらす人々についてよく理解できるようになります。
また6つの気候帯をおさえておけば、地球全体を視野にいれた情報処理(インプット→プロセシング→アウトプット)がやりやすくなります。情報処理の場が地球大(グローバル)に拡大されるといってもよいでしょう。実際 人類は、そのようなあたらしい歴史的段階にはいってきているのです。
▼ 記事リンク
モデルをつかって気候帯をとらえる - 熱帯(『気候帯でみる! 自然環境〈1〉』)-
モデルをつかって気候帯をとらえる - 乾燥帯(『気候帯でみる! 自然環境〈2〉』)-
モデルをつかって気候帯をとらえる - 温帯(『気候帯でみる! 自然環境〈3〉』)-
モデルをつかって気候帯をとらえる - 冷帯(『気候帯でみる! 自然環境〈4〉』)-
モデルをつかって気候帯をとらえる - 高山気候(『気候帯でみる! 自然環境〈4〉』)-
モデルをつかって気候帯をとらえる - 寒帯(『気候帯でみる! 自然環境〈5〉』)-
▼ 注1
高山帯は、面積が小さいため図1では省略してあります。
▼ 注2
自然環境と人間の中間的な領域(境界領域)に文化は位置づけられます。この視覚的な見方が大事です。文化を、言語的・思想的にとらえるよりも先に視覚的にとらえなおそうというこころみです。
▼ 注3
文化とは、衣服、住居、道具、装備、農耕、牧畜、漁労、その他の技術などの総称です。たとえばそれぞれの気候帯における衣服や住居のちがいは国立民族学博物館を見学すれば一目瞭然です。 ほかの動物とちがって人間は、自然環境と直接して生きているのではありません。たとえば人間(身体)と自然環境のあいだには衣服があります。衣服は、それぞれの自然環境のなかですこしでも快適にすごせるように、それぞれに工夫されています。すこしでも快適に創造的に生きられるように、衣服からはじまってさまざまなな技術開発を人間はおこなってきました。これは文化の発展といってもよいでしょう。
▼ 注4
梅棹忠夫著『文明の生態史観』(中公文庫)も参考になります。
世界モデルを見て文明の全体像をつかむ 〜 梅棹忠夫著『文明の生態史観』〜
空間的に世界をとらえる - 梅棹忠夫編『文明の生態史観はいま』-