印象にのこったことをメモし、そのときの体験を想起することによって体験ファイルをつくるようにします。すると心のなかが整理され情報処理がすすみます。アウトプットもしやすくなります。
たとえば横浜に行って、横浜中央郵便局で仕事をして、時間があったので、みなとみらい線で馬車道駅までいき、その後、赤レンガ倉庫から、山下公園、海の見える丘公園をへて、最後に中華街で中華料理を食べてかえってきたとします。

せっかく横浜まで行ったのですからその日の思い出をメモしておいた方がよいです。たとえばつぎのようなメモをしました。

  • 横浜中央郵便局
  • 赤レンガ倉庫
  • 象の鼻テラス
  • 赤い靴はいてた女の子の像
  • 大さん橋
  • 噴水
  • 海の見える丘公園の花壇
  • 横浜港
  • 中華がゆ

あれもこれもメモするのではなく、印象にのこったことをピックアップしてメモをのこします。みずからの体験こそが重要であり、それが有名だからとかガイドブックにのっていたとかいうことにとらわれる必要はありません。

そしてメモをしたら、そのときの体験、見たり聞いたり感じたこと(その場で内面にインプットされたこと)を、目をとじてザーッと一気におもいおこしてみます(想起します)。この想起訓練がとても重要です。気温や湿度、風、匂い、地面のかたさなどもふくめてどのようなことが想起されるでしょうか。食事をしたなら料理の食感や味をしっかりおもいだします。

このような作業をすると、ひとつのメモのもとで体験のひとまとまりが形成されます。体験のひとまとまりは情報のひとまとまり、記憶のひとまとまりといってもよく、これは簡単にファイルということができます。つまり、心のなかに「体験ファイル」ができます(図1)。 上記の例では9つの体験ファイルができます(ファイルされます)。


161120 メモ
 図1 体験ファイル


体験ファイル(情報のひとまとまり)は、見出しであるメモと情報の本体である体験とから構成されています。図1では、情報のひとまとまりを模式的に球であらわしています。

このような方式をつかえば、いそがしい日々のなかでもメモをしながら心のなかが整理され、時間をかけずに情報処理が簡単にすすみます。そして将来、時間の余裕ができたら、メモをみながらそのときの体験をおもいだして文章化(アウトプット)することもできます。