福島第一原発事故をふまえ、新エネルギーに転換するには、あたらしい発電とともに蓄電池の開発が必要であり、また送電網の改革もしなければなりません。
『電力と新エネルギー』(ニュートンプレス)は、電気・電力の基礎と将来の新エネルギーについてイラストをつかってわかりやすく解説しています。



福島第一原発事故をふまえ、新エネルギーの開発がもとめられています。しかしその前に、電気と電力の基礎について認識をふかめておく必要があります。

電気は、発電所で発電されて送電線をとおって各家庭までおくられます。送電線(金属のケーブル)のなかをながれる電流の正体は電子の移動です。電子は、マイナスの電気をおびており、金属のなかを移動します。これが電流です。

送電の際には、電力の一部が熱に変化してうしなわれてしまいます。送電線が長いと電力ロスが多くなります。また送電線が細くてもロスが多くなりますが、送電網建設のコストがかさむので電線はある程度ほそくせざるをえません。したがって発電所と消費地の距離は短い方がよいのです。このように発電の問題をかんがえるときには、送電の問題も同時にかんがえなければなりません。

あたらしいエネルギー源あるいは発電の方法としてはつぎのようなものがあります。

  • 新燃料による火力発電
  • シェールガス(天然ガスの一種)
  • バイオ燃料
  • 太陽光発電
  • 風力発電(とくに洋上風力発電)
  • 地熱発電
  • 波力発電
  • 燃料電池

もっとも注目されている太陽光発電は、ほかの発電のようにタービンをまわして発電するのではなく、太陽の光のエネルギーを直接的に電力に変換するのが利点です。しかし夜間に発電できないこと、曇りや雨の日は発電量がさがるという欠点があります。

そこで蓄電池の開発がもとめられます。

電力は、そのままの形態では貯蔵できません。自然エネルギーの多くは、電力が必要なときに自在に発電できるとはかぎらないという欠点があります。

もっとも代表的な蓄電池はリチウムイオン電池です。課題は、希少な金属であるコバルトがつかわれていることです。国内でのリサイクルを徹底させる必要があります。現在、リチウムイオン電池の大容量化がすすめられており、ビル1棟分の電力をまかなえるような蓄電システムも実現しつつあります。


▼ 関連記事 

▼ 参考文献
『電力と新エネルギー』ニュートンプレス、2015年11月9日