グラフィックサイエンスマガジン『Newton 2017.6号』の Topic では「あなたが化石になる方法」と題して、化石のでき方について解説しています。

化石とは、人間の手が加わっていない過去の生物の遺骸、もしくは、その一部や痕跡の事です。

死んだ動物が化石になるために必要なことは、死んでからすぐに埋もれることです。

アンモナイトや三葉虫の殻の化石は、炭酸カルシウムででいているが、生前も炭酸カルシウムでできていたと考えられる。（中略）石のように硬い理由は、殻の内部の大小さまざまな隙間が、まわりの地層から染み出た成分や鉱物で埋まるなどしたためである。

死んだ場所がどのような場所で、その後、どのような歴史を経て現在に至っているのかによって、同じ生物であっても化石となった時には、まったく "別のモノ" となることがあるのだ。

たとえば「珪化木」とよばれる木の化石は、炭素主体の木の成分が地層中にふくまれる珪素におきかわってかたい「石」になったものです。

そのほかにも、「コンクリーション」とよばれる岩につつまれて骨や殻がのこったり、鉱物で全身がコーティングされた化石があったり、化石の形成過程はさまざまです。もしヒトを化石にするのでしたら「粘土でおおって、海底に沈める」とよいそうです。

化石の研究は、生物の進化を解明するためのもっとも重要な方法です。しかしその時代を生きた生物の非常にごく一部（ほんのわずか）が特殊な環境下でのみ化石になりえます。したがって進化論は、きわめてすくない情報をもとにして構築されているというのが実情です。科学者たちは、ごくわずかしかのこっていない「断片」から生物の進化を苦労して想像しているのです。

したがっていいかえれば、化石はきわめて貴重な「過去からのおくり物」だといえます。化石なくして進化論はかたれません。化石にもっと注目すべきです。


▼ 引用文献