錯視は実際に体験してみるのが一番です。視覚や情報処理の仕組みについての理解がふかまります。
東京都江東区にある日本科学未来館で、メディアラボ第17期展示「数理の国の錯視研究所」が公開されています(注1)。数学をつかって錯視の研究にとりくんでいる研究者が制作した錯視作品18点をみながら、錯視がおこる仕組みについて理解することができます。
フラクタルらせん錯視
らせん状に渦巻いて見えます。しかしよく見てくだい。フラクタル図形が同心円状に配列しています。フラクタルとは、部分が全体と相似(自己相似)となるような図形のことです。同心円なのに渦巻いて見える錯視です。
錯視(錯覚)は実際に見てみるのが一番です。 一目瞭然ならぬ「一目錯覚」が体験できます。静止画がうごいて見えたり、見る距離を変えるとちがう絵が見えたり、現実の世界では不可能な立体があったり、坂をのぼるボールが見えたり、おどろかされる作品の数々が展示されています。
錯視の仕組みが解明されれば、あらたに錯視をつくりだしたり、錯視の程度をコントロールしたり、エンタテインメント作品をうみだしたり、錯視を防止して暮らしに役立てたりすることができます。たとえば車の運転中におきる錯視をよわめて交通事故を軽減したり、医療や観測などの画像処理技術に応用したりする活用などが期待できます。鏡と競演する不可能立体
鏡にうつすと形が変わる立体です。手前が実際の立体、奥が鏡にうつった像です。ありえないことがおこっています。鏡にうつったことを本当だとおもいますか?
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錯視(錯覚)は実際に見てみるのが一番です。 一目瞭然ならぬ「一目錯覚」が体験できます。静止画がうごいて見えたり、見る距離を変えるとちがう絵が見えたり、現実の世界では不可能な立体があったり、坂をのぼるボールが見えたり、おどろかされる作品の数々が展示されています。
線や形が実際にえがかれたとおりに見えなかったり、見えるはずのない模様が見えてしまう錯視の世界は不条理で奇妙な世界です。しかしこの会場を一歩ふみだした現実の世界でもいたるところで錯視がおこっているのです。そのときの出来事を「わたしはたしかに見た」と言いますが、錯視はおこっていなかったでしょうか?
今回の展示では、錯視がおこる仕組みを数理モデルで解明しているところに最大の特徴があります。錯視は人間の情報処理の過程でおこります。このことが数学的にもとらえられつつあるということです。
目をとおして外界からはいってきた光(光子)は、電気信号に変換されて大脳へおくられます。大脳皮質ではその信号を、さまざまな特性をもつ成分にいったん分解し、そして再構成して対象を認知します。つまり、情報処理によって人間は対象を認知しているのです。
今回の展示では、錯視がおこる仕組みを数理モデルで解明しているところに最大の特徴があります。錯視は人間の情報処理の過程でおこります。このことが数学的にもとらえられつつあるということです。
目をとおして外界からはいってきた光(光子)は、電気信号に変換されて大脳へおくられます。大脳皮質ではその信号を、さまざまな特性をもつ成分にいったん分解し、そして再構成して対象を認知します。つまり、情報処理によって人間は対象を認知しているのです。
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