人間は、みずらの進化の方向をみずからの手で決める能力をもってしまいました。
『ナショナルジオグラフィック 2017.4号』では、「テクノロジーで加速する人類の進化」と題して「ネクストヒューマン」について特集しています。




ハービソンは34歳。「1色覚」というまれな先天異常で、色をまったく認識できない。そんな彼の世界を変えたのが、黒いアンテナだ。(中略)

アンテナの先端に付いた光ファイバーセンサーが、彼の視野に入る光の波長をとらえ、頭に埋め込まれたマイクロチップがそれを振動に変換して、後頭部に伝える。骨の振動が音となり、頭蓋骨がいわば第三の耳として機能する仕組みだ。この方法で彼は、私のブレザーの色を紺色だと当てた。


ハービソンは身体障害者ではなく、サイボーグでありネクストヒューマンです。

50年あまり前に2人の科学者が、人間と機械が融合した架空の生命体として「サイボーグ」という言葉を考案しました。今日、それが現実になりました。たとえばドアのロックを自動的に解除できる装置を体にうめこんだ人がおよそ2万人もいます。

あるいは現在、ゲノム編集技術が開発され、人間は、みずからの進化の方向をみずから決めることも可能になってきました。たとえばこれから生まれてくる子どもをおもいどおりデザインすることも・・・。こうしたこころみには負の側面があるのも確かです。

あるいは今後50年以内に、人間が火星に小規模な定住地をつくる可能性があります。彼らの子孫は火星人になります。

いったい人間はどこにむかっているのでしょうか? 行き先のわからないまま足を踏みだしてしまったのではないでしょうか? 今回の特集は重大な問題提起をわたしたちにしています。


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