〈1.構造→2.要素→3.本質〉とストーリーは、認識の基本的方法です。
国立科学博物館の地下3階にいくと、宇宙の構造物質のなりたち宇宙の法則のそれぞれを体験的にまなぶことができます。

宇宙の構造では、宇宙の階層構造をしっかりイメージすることが大事です。物質は、生命・地球・恒星などを形づくっています。物質について理解することは宇宙の構成要素を認識することになります。そして宇宙の根本には法則があります。法則がはたらいて構造も物質も現象もなりたっています。

法則といえば、たとえば白鳥敬著『定理と法則 105』(学研プラス)をみればあきらかなように、人間界にも法則があるとかんがえられます。法則は物理法則だけではありません。しかし物理法則は明快でわかりやすいため、法則について理解をふかめるときのモデルになります。

法則を知ることによって、複雑な現象を統一的に理解できたり、法則を仮定することによってさまざまな現象が説明できます。したがって法則は物事の本質といってもよいでしょう。

このように、構造をみて、要素をとらえ、本質にせまるという方法は、宇宙や自然の探究のためだけでなく人間界でもつかうことができます(図1)。これは、わたしたちが存在する宇宙をベースにした一般的認識法といえるでしょう。


170422 構造
図1 認識の3段階


ところで、国立科学博物館の地下3階には映像展示「ビッグバンから現在まで」のコーナーもあり、ここでは、宇宙が誕生してから現在の宇宙になるまでの様子を動画でみることができます。これは宇宙のストーリーです。宇宙の構造、宇宙の要素(物質)、宇宙の本質(法則)をみおわったあとで、このストーリーをみると理解が一段とふかまります。


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映像展示「ビッグバンから現在まで」
(交差法で立体視ができます)


おもしろいことにストーリーにはあらゆる情報を統合する機能があります。宇宙とはかぎらず、たとえば歴史小説をよむと歴史に関する理解が一段とふかまります。これはさまざまな情報を時間軸にのせて統合的にとらえられるからです。

3段階とストーリー。これは、認識の基本的な方法としてあらゆる課題についてつかえます。



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▼ 注1
国立科学博物館・地下3階「自然のしくみを探る」

▼ 参考文献
『地球館ガイドブック』編集・発行国立科学博物館、2016年7月29日 
 白鳥敬著『定理と法則 105』(人に話したくなる教養雑学シリーズ)学研プラス、2013年9月11日