今回は、「発想をうながすKJ法」のなかの第2場面(その1)「グループ編成」から「表札をつける」について解説します。

「グループ編成」の方法(編成法)の手順は次の通りです。

〔ラベルをよむ〕→〔ラベルをあつめる〕→〔表札をつける〕


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発想をうながすKJ法(まとめ) 

▼「グループ編成」(編成法)に関する基本的な解説はこちらです
グループ編成→図解化(イメージ化)の方法 -「発想をうながすKJ法」の解説(その2)-


■ 情報を要約・統合する
たとえば、「ラベルをあつめる」で3枚のラベルがあつまったとします。それら3枚に記されている文をすべて読んで、エッセンスを要約し、あたらしい「ラベル」に単文として書きだします。

そして、3枚の「元ラベル」のセットの一番上にかさねます。あたらしいこの「ラベル」が「表札」です。一番の表の「ラベル」(札)という意味です。
 

■ キーワードをまず書きだす
要約がつくりにくいときは次のようにします。

メモ用紙を用意します。「元ラベル」がたとえば3枚の場合、それぞれの「ラベル」について、1語ずつ、キーワードを書きだします。つまり、3語のキーワードをだします。文中の単語をつかってもよいし、あらたな単語をかんがえてもよいです。

次に、キーワードだけを見て(「元ラベル」は見ないで)、それらを統合したらどういう単文になるかかんがえ、みじかい1文を書きだします。なるべく、キーワードの足し算にならないようにします。やや抽象的な言葉をおもいうかべます。

そして、「元ラベル」を見なおして、いま書きだした単文を補足・修正し、あたらしい「ラベル」に書きなおします。

要点を整理し無駄をすて本質を把握することが大切です。 重要な事柄は高めて、どうでもよいことがらはしずめます。的確に簡潔に見通しよく記述します。まわりくどい冗長な記述はさけます。
 

■課題(テーマ)を明確にする
要約を書くにあたっては、課題(テーマ)を再確認し、課題(テーマ)を前提にして要約をつくることが重要です。前提を決めないで要約をしようとしてもうまくいきません。
 

■「表札」(要約)はあたらしい上部構造となる
「ラベル」は情報のひとかたまりの「標識」であり、情報の上部構造です。情報の本体は下部構造として常に潜在しています。

「表札」も、情報のひとかたまりの上部構造であり、情報の本体が下部構造として常に潜在しています。


■「ラベルをあつめる」は情報の並列処理である
「編成法」の「ラベルをあつめる」では、「ラベル」を空間的に縦横に配置して「ラベル」の並列操作をおこないました。つまり、前から後ろへ直列的に(一次元で)情報をとらえるのではなく、全体を一気に見て空間的に(二次元で)処理したのです。ラベルがよくできていると並列処理が可能になり、並列処理は情報処理を加速させます。

「ラベル」がきちんとできていると、情報が無意識のうちに連携をはじめ、情報同士が自然につながってきます。そして情報の合併が生まれ、情報の再編成がおこります。まるで情報自体が生き物であるかのようです。情報が自動的に再編成する現象をとらえることが大事です。

ここでは、言葉と言葉がつながるのではなく、情報と情報がつながるということに注意してください。 内面では情報はすべてつながっています。


■要約は、統合的アウトプットである
「表札」つくること、要約を書くことは情報を統合してアウトプットすることです。「編成法」(グループ編成の方法)では、「表札」として要約文がアウトプットされます。要約は、アウトプットの基本的な方法です。

要約すると情報は圧縮されます。圧縮すると、ファイルのメモリーが小さくなるように情報はかるくなり、情報処理を加速することができます。「表札」は、ある一群のファイルを圧縮したものであり、これによりファイルの連携が綿密になります。そして、要約の集合は体系を形成し、全体を単純化します。

このように「グループ編成」は、情報の群れを再構築する作業であり、要約により、背後にある情報をむすびつけることです。情報を断片のまま放置せず、「圧縮ファイル」をどんどんつくっていくことが大切です。


■要約にもレベルがある
「編成法」では、グループごとにくりかえし要約をつくっていきます。「グループ編成」の段階に応じて要約にもレベルがあります。

小グループ(小チーム)の要約は下層レベルの要約であり、こまかい要約です。大グループ(大チーム)の要約は上層レベルの要約であり、おおまかな要約となり大観的になります。

大グループ(上層レベル)の要約ほど、元情報からずれやすくなるので注意が必要です。下層からまっすぐつみあがっていく構造をイメージしてください。

こうして、多段階の要約をしながら情報を洗練していきます。


■要約はビジョンを生みだす
要約は知性をみがく知的な作業であり、 体験のなかに価値を見いだし、仮説や見識を生みだします。

よくできた要約は大観をとらえ本質をあらわします。要約はあらたな価値をうみだし、ビジョンをもたらします。ビジョンは未来をひらき、行動を生みだします。


文献:川喜田二郎著『発想法』(中公新書)中央公論社、1967年6月26日