地形は、地域の基本的な枠組みをつくっています。地形をよむ能力を身につければ地域の理解がすすみ、世界がひろがります。
グラフィックサイエンスマガジン『Newton 2017.5号』のシリーズ「驚異の地形」第3回(終)では、「侵食が生む驚異の地形」について解説しています。
![IMG_9048](https://livedoor.blogimg.jp/tanokura3/imgs/6/7/67707540.jpg)
このように大地は、けずられ、溶かされてその形を変化させていきます。地形をみれば、大地のうごきとともに、水や大気の運動も理解することができます。
地形図を読む - 山岡光治著『地形図を読む技術』-
絶景を旅しながら地形について理解をふかめる -『地形がわかるフィールド図鑑』-
身近な地形を認識する
土地の地形を知って地域の歴史や人々の生活を知る -『地形のヒミツが見えてくる体感!東京凸凹地図』(技術評論社)-
▼ 文献
『Newton 2017.5号』ニュートンプレス、2017年5月7日
アメリカのグランドキャニオン国立公園は、名実ともに世界で最も有名な世界自然遺産の一つです。(中略)グランドキャニオンは、ロッキー山脈を源とするコロラド川による侵食によって生みだされました。峡谷の標高差は平均で約1600メートルにも達し、谷の側面には、地球の約20億年分の歴史を物語る地層が露出しています。
石灰岩が溶けてできる地形のことを「カルスト地形」といいます。(中略)カルスト地形をつくる石灰岩は、サンゴや有孔虫など、石灰質の骨格をもつ海棲生物の死骸が積み重なってできた岩石です。(中略)カルスト地形には、石灰岩の「溶食」によってできた、さまざまな地形があります。溶食とは、川の流れなどに応じて物理的に削られる「侵食」とは異なり、物質が水に溶ける現象を指します。(中略)日本でも、山口県の「秋吉台」や、南西諸島にある島々などがカルスト地形として知られています。
![IMG_9048](https://livedoor.blogimg.jp/tanokura3/imgs/6/7/67707540.jpg)
このように大地は、けずられ、溶かされてその形を変化させていきます。地形をみれば、大地のうごきとともに、水や大気の運動も理解することができます。
地形は、大地と大気圏・水圏との接面であり、この接面の上でわたしたち人間は生存しています。地形は、人間が生存するための環境のもっとも基本的な枠組みをつくっています。したがってある地域について理解しようとおもったら、その地域の基本的な枠組みである地形に注目するとよいです。何事も、枠組みがわかると認識がいちじるしくすすみます。枠組みがないと理解はすすみません。
あるいは地形は、わたしたち人間の生活の「舞台」です。この舞台のうえで実にさまざまな物語が展開しています。あるいは地形は、植物や動物、その他の自然の要素をいれる「うつわ」ととらえることもできます。地形は、人間にも自然にもさまざまな物事に通じます。
したがって地形をよむ力を身につけることはとても大事です。散歩や旅行にでかけたときには地形に注目するとよいでしょう。あらたな発想がえられ、ビジョンを展開する場としてそこがつかえるかもしれません。そもそも人間は、さまざまな地形をたくみに利用して文明を発達させてきたのです。
地形といえば風景であり、うつくしい風景をみることは感受性(インプット能力)をたかめます。しかしさらに一歩ふみこんで、地形をよむ能力を身につければ世界に関する認識が一層ふかまるでしょう。
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『Newton 2017.5号』ニュートンプレス、2017年5月7日