鎮守の森のプロジェクトがすすんでいます。その土地にあった樹種の苗木をまぜあわせて植えていきます。
宮脇昭著『瓦礫を活かす森の防波堤』学研パブリッシングは、東日本大震災の被災地に「いのちの森」をつくることを提唱しています。




タブノキやシイ、カシ類の常緑広葉樹がなぜ防災力があるのか?

それは、地中に深く根を張って、護岸の役割を果たし、たとえ地上部が伐採されても根元から萌芽、株立ちして再生するためで、かつ、冬でも常緑で水を含んでいるために四季を通して再生萌芽し、火防林の役割を果たすからだ。


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日本人は昔から、常緑広葉樹がもつこのような防災の働きを経験的に知っていました。

また日本列島には照葉樹林が分布し、照葉樹林文化がはぐくまれてきました。この文化は、草原の文化でもなく、畑作の文化でもない、森と共生する水田稲作文化を主としており、ゆたかな食料生産が可能です。人々は、山を神聖な場所とかんがえ、里山には「鎮守の森」をつくり、ふるさとの森を温存してきました。

著者の宮脇昭さんは「本物の森」づくりを提案しています。本物の森とは、多様な階層群落からなりたっている森であり、そこでは、さまざまな樹木が、競争しながら、おたがいに我慢しあって共存しています。そのような森をつくるために、その土地にあった樹種の苗木(ポット苗)をまぜあわせて植えていきます。

こうして震災後、森の長城プロジェクトが開始されました。現在は、鎮守の森のプロジェクト(注)と改名して全国各地で植樹がおこなわれています。植樹に参加することもできます。寄付をすることも可能です。ご協力いただければ幸いです。


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▼ 注
鎮守の森のプロジェクト

▼ 参考文献

▼ 関連書籍
宮脇昭著『鎮守の森』(新潮文庫)2007年4月25日