標本や資料や情報は、ただあつめるだけでなく分類し体系化しなければなりません。そうすれば検索ができるようにり、必要なときに必要な情報が活用できます。
国立科学博物館で開催されている「大英自然史博物館」展の第2展示室では、分類学の父・リンネの業績について紹介しています(注1)。写真は平行法で立体視ができます。
立体視のやり方 - ステレオグラムとステレオ写真 - >>
スウェーデンの植物学者・カール=リンネ(1707-1778)は、自然界の種に名前をつけるための革新的な方法を確立しました。
当時、植物と動物の名前は、説明的な長いラテン語の文章で記載されていましたが、リンネはこれにかえて命名を単純化し、2つの単語(ラテン語の属名と種小名)をくみあわせる「二名法」を導入しました。現在、普遍的なやり方として科学の世界でこの方法がつかわれており、リンネは「分類学の父」とよばれています。
博物館には、標本や資料や情報が大量にあつまってきます。そのまま放置しておけば、あつまればあつまるほど収拾がつかなくなるのはあきらかです。そこで分類が必要になります。今日では、分類はごく常識的なことですが、「分類学の父」の業績を知っておくことには意味があるでしょう。
分類は、何に着目すれば可能なのか? それは類似点と相違点です。類似点と相違点に気がつくことは分類のみならず認識の基本です。こうして膨大な植物標本を分類し、その結果、植物に関する体系ができあがってきました。植物学のはじまりです。
分類は、ただ分類すればよいということではなく、その結果、体系ができるというところに意義があります。植物にかぎらず物事に名前をつければ名前で検索ができます。さらに体系をつくれば分類項目でも検索ができるようになります。
たとえば図書館の書籍は、書名や著者名で検索ができますが、十進分類法による分類項目からも検索ができます。十進分類法は書籍を分類するだけでなく検索法としても機能しているのです。これが図書館の体系です。
このようにしておけば、どんなに資料が増えようとも、どれほど情報が蓄積されようとも、必要なときに必要なことが検索できるということになります。体系とは同時に検索の仕組みです。
このように情報は、ただあつめただけではつかえません。課題に応じた独自の体系化という作業が必要です。
たとえばこのブログは、情報処理(インプット・プロセシング・アウトプット)と問題解決をキーにして体系化しています。問題解決とは、情報処理を累積した大きな情報処理のことです。あるいは問題解決の段階の内部で情報処理をくりかえすといってもよいです。
このような体系(と検索機能)があれば、どれだけ記事が増えようとも、どれだけ広範囲に話がおよぼうとも、必要なときに必要な情報がひっぱりだせます。
しかし課題も体系もあやふやなままだと収拾がつかなくなってきます。分類学の父・リンネからまなばなければなりません(注2)。
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▼ 注1大英自然史博物館展(国立科学博物館)
大英自然史博物館展(特設サイト)
公式動画
▼ 注2
既存の分類項目にしたがわずに、自由な発想で(独自の分類項目を設定して)体系化をすすめることもできます。そのための技術が「知的生産の技術」であり「KJ法」です。
▼ 参考文献
国立科学博物館・読売新聞社編集『大英自然史博物館展 図録』読売新聞社発行、2017年
立体視のやり方 - ステレオグラムとステレオ写真 - >>
スウェーデンの植物学者・カール=リンネ(1707-1778)は、自然界の種に名前をつけるための革新的な方法を確立しました。
当時、植物と動物の名前は、説明的な長いラテン語の文章で記載されていましたが、リンネはこれにかえて命名を単純化し、2つの単語(ラテン語の属名と種小名)をくみあわせる「二名法」を導入しました。現在、普遍的なやり方として科学の世界でこの方法がつかわれており、リンネは「分類学の父」とよばれています。
プテロカウロン・スファケラトゥム(キク科)
(Pterocaulon sphacelatum, Furit-salad plant)
リンネの教え子であるダニエル=ソランダーは、1768年、クックがひきいるオーストラリアへの航海に参加、この植物を採集しました。リンネの二名法は国際的にひろまっていきました。
(Pterocaulon sphacelatum, Furit-salad plant)
カール=リンネ『自然の体系』第10版 第1巻
("Systema Naturae" by Carl Linnaeus, 1758)
『自然の体系』では、全生存種に対する分類と命名を目指しましたが、動物については、リンネの分類におさまりきれませんでした。今日でも、どのくらいの数の動物の種があるのか、正確にはわかっていません。
("Systema Naturae" by Carl Linnaeus, 1758)
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博物館には、標本や資料や情報が大量にあつまってきます。そのまま放置しておけば、あつまればあつまるほど収拾がつかなくなるのはあきらかです。そこで分類が必要になります。今日では、分類はごく常識的なことですが、「分類学の父」の業績を知っておくことには意味があるでしょう。
分類は、何に着目すれば可能なのか? それは類似点と相違点です。類似点と相違点に気がつくことは分類のみならず認識の基本です。こうして膨大な植物標本を分類し、その結果、植物に関する体系ができあがってきました。植物学のはじまりです。
分類は、ただ分類すればよいということではなく、その結果、体系ができるというところに意義があります。植物にかぎらず物事に名前をつければ名前で検索ができます。さらに体系をつくれば分類項目でも検索ができるようになります。
たとえば図書館の書籍は、書名や著者名で検索ができますが、十進分類法による分類項目からも検索ができます。十進分類法は書籍を分類するだけでなく検索法としても機能しているのです。これが図書館の体系です。
このようにしておけば、どんなに資料が増えようとも、どれほど情報が蓄積されようとも、必要なときに必要なことが検索できるということになります。体系とは同時に検索の仕組みです。
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このように情報は、ただあつめただけではつかえません。課題に応じた独自の体系化という作業が必要です。
たとえばこのブログは、情報処理(インプット・プロセシング・アウトプット)と問題解決をキーにして体系化しています。問題解決とは、情報処理を累積した大きな情報処理のことです。あるいは問題解決の段階の内部で情報処理をくりかえすといってもよいです。
このような体系(と検索機能)があれば、どれだけ記事が増えようとも、どれだけ広範囲に話がおよぼうとも、必要なときに必要な情報がひっぱりだせます。
しかし課題も体系もあやふやなままだと収拾がつかなくなってきます。分類学の父・リンネからまなばなければなりません(注2)。
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▼ 注1
大英自然史博物館展(特設サイト)
公式動画
▼ 注2
既存の分類項目にしたがわずに、自由な発想で(独自の分類項目を設定して)体系化をすすめることもできます。そのための技術が「知的生産の技術」であり「KJ法」です。
▼ 参考文献
国立科学博物館・読売新聞社編集『大英自然史博物館展 図録』読売新聞社発行、2017年