スキットを想像します。キーフレーズを見出しにします。情報をひとまとまりにして記憶(ファイル)します。
NHK ラジオ英会話、今月は「動詞」の最終月です。know、understand、think、believe など、知識や理解・思考に関わる重要な動詞をとりあげています。
Lesson 121 欲求・願望を表す ①:want
want は、持っていないもの、欠けているものをもとめるつよい欲求をあらわす動詞です。この単語には生々しさが感じられ、とくに I(わたし)とむすびついて「I want・・・」 となると、場合によっては子どもっぽくひびいてしまうことがあります。would like は want より弱い表現ではありません。want から生々しさを排除した大人の表現です。
Lesson 122 欲求・願望を表す ②:wish、hope
wish は、うしろに節がくる場合はかならず仮定法となります。それは wish は、現実感のない願望をえがくドリーミーな動詞だからです。hope には wish にみられたドリーミーな質感はなく、いたって現実的な「願う」となります。
Lesson 123 知識を表す:know ①
know は「知っている」。この文は「この地域を知らない」ということです。気楽な単語ですが、たくさんのニュアンスにみちたつかい方がこの動詞にはかくれています。
Lesson 124 知識を表す:know ②
know のおおきな特徴は、その内容が事実であるということにあります。
Lesson 126 見つける:find、discover
find は「見つける」をあらわす基本動詞です。「あっ、あった」と頭にクリックがなるような感触で何かを見つけたり、何かに気づいたりします。discover は、cover をはずす(dis)から「発見する」となります。「おおっ」と、発見にともなうおどろきやよろこびが感じられます。
Lesson 127 わかる・気づく:realize、recognize、notice
「わかる・気づく」にはいろいろな単語があつまっています。realize のイメージをしる手がかりは、この動詞がもつもうひとつの意味「実現する」にあります。realize は「 real(現実の)+ ize(~にする)」、何かを目に見える形にするということです。「わかる」の意味でつかわれる場合もおなじであり、ボンヤリとしか見えていないものをクッキリとリアルに認識することです。また recognize は、「 re-(再び) cognize(知る)」、過去のデータ・知識・経験にてらして「ああ、あれだな、とわかる」ということです。ことなったニュアンスをもつ「わかる・気づく」は notice、この単語は sense(感じる)にちかい単語であり、心のアンテナにひっかかるということです。
Lesson 128 理解する:understand、grasp、comprehend、follow
「理解する・わかる」を意味するもっとも標準的な動詞は understand です。「She doesn’t understand Japanese」といった日常表現にもつかえます。同情・共感を相手によせるニュアンスでもつかうことができます。grasp は「つかむ」、ここから「キッチリ理解する」となります。comprehend は「理解する」ですが「 com(完全に)+ prehend(つかむ)」という語源をもち、「難しい内容を完全につかむ」というイメージのかたい単語です。follow は「ついていく」から「理解」となります。とても自然な流れです。
Lesson 129 思考を表す動詞 ①:think
思考系動詞の代表選手は think です。think はもっとも幅ひろくつかわれる基本動詞です。この文では、about のもつ「周り」というニュアンスが「(それに)まつわるさまざまなことを」という意味をくわえ、「よく考える・思い巡らす」という意味でつかわれています。
Lesson 131 思考を表す動詞 ②:believe
believe は「信じる」です。think(思う・考える)が「頭」についての動詞なら、believe は「心」についての動詞です。think よりもふかく心の中に根をおろしている単語が believe です。-er をつけて thinker なら「思想家・考える人」ですが、believer は「信仰者・信じている人」のことです。
Lesson 132 思考を表す動詞 ③ think の「上」と「下」: consider、guess
think よりもふかい熟考をかさねるのが consider です。「よく考える」は think about でも OK ですが、単体ならこの動詞です。頭をしっかりまわして「考える・熟考する」という意味です。think よりも思考過程が感じられないのが guess です。この動詞は、「推測する・(何となく)思う」、確信はありませんし、そもそも判断に役立つ情報もあまりありません。
Lesson 133 思考を表す動詞 ④ 予期する・想像する:expect、imagine
expect の成り立ちは「ex-(外を) spect(見る)」、「当然こうなるはずだ」と予期・期待するという単語です。この単語は名詞や節のほか、to 不定詞といいコンビネーションを作ります。「これから」がつよく含意されるためです。「予期する」とちかい位置にある、おもいえがくタイプの動詞に imagine(想像する)があります。心にイメージをえがきます。
Lesson 134 思考を表す動詞 ⑤ ひとクセある「思う」:suppose、assume
「思う」を意味する動詞には、ニュアンスの理解がむずかしいものがあります。be supposed to は規則や法律・約束などの決まり事(~することになっている)をあらわします。それは、suppose の語源が「下に置く」であり、「判断の土台」が感じられる動詞だからです。思考系のもうひとつのやっかいな動詞が assume です。「~が本当だと思う・仮定する」といった意味ですが、この単語のイメージは take(うけいれる)です。あることが本当だとうけいれる、ある仮定をうけいれるということです。
Lesson 136 思考を表す動詞 ⑥ 推論する:doubt、suspect、speculate
「推測」は、わたしたちが日常おこなう重要な思考のひとつです。doubt は「疑う」と訳される動詞ですが「そうじゃない」とおもう心のうごきをあらわします。「疑う」と同様に訳されることがある suspect は「~なのではないかと疑う」、つまり「もしかするとこうではないか」とかんがえる心のうごきをあらわします。ネイティブスピーカーは suspect をつかうときにしばしば眉根をよせます。すぐには結論づけることのできない内容を複雑な論理の筋道をおいながらはなしているからです。suspect は名詞でつかえば「容疑者・被疑者」、「やったんじゃないのか」ということです。speculate(推測・臆測する)の単語のイメージは「確たる証拠がない」です。結論をだそうとしていますが証拠がすくなすぎて確たることはいえないということです。
Lesson 137 思考を表す動詞 ⑦:wonder
wonder のイメージは「?」です。つよくおおきなクエスチョンマークです。この文では、if 節(~かどうか)をともない、「まだ僕のことを考えているのかどうか」と頭に「?」をうかべています。つまり独り言です。
Lesson 138 好き・嫌い:love、adore、worship、hate
love は、人間のもつもっともうつくしい感情でしょう。like より格段につよくふかい意味をもちます。ロマンチックな感情にもつかえますが家族や大好きなモノ・事にもひろくつかえます。love よりも意味がつよい単語が adore、ほこらしくおもう気持ちがまざったふかい意味をもちます。「ひざまずいてもいい」とすらおもえる無条件の称賛をふくんだ愛情は worship(崇拝する)、本来は神様に対する感情です。一方、もっと嫌いな場合は hate(憎む・大嫌い)をつかいます。
Lesson 139 英会話の中心にある動詞:respect
respect は、何かすばらしいことをなしとげた人を「称賛する」ことではありません。あるいは目上の人(年上・権威ある人・親など)を尊敬する・あおぎみることでもありません。respect は、たとえ意見がちがっていても、たとえすきではなくても、その価値を認め、すばらしいものだと「尊重する・一目置く・認める」ことです。相手を respect するのは、相手の基本的人権をみとめることに非常にちかいです。
5ヵ月間もつづいた基本動詞の学習は今月でおわります。たくさんの動詞のつかいかたがわかりました。ひとまとまりのことをなしとげると達成感がえられます。どのような課題にとりくむにしても達成体験がとても大事です。
番組では、スキット(ダイアログ)を音読し暗唱することをすすめています。十分な数の例文を記憶しておけば英会話中に口ごもることがすくなくなります。また登場人物のおかれた状況や心理に心をよせながら練習すれば効果が倍増します。
そこで具体的には、スキットのリスニング・音読・暗唱をするときに、スキットの状況・場面を想像してみる(映像をおもいうかべてみる)とよいです。
たとえば Lesson 121 のスキットはつぎのとおりです。
場所は遊園地です。背景に、観覧車を想像してください。その前で、女の子がアイスクリームをたべています。そこからすこしはなれたところで Koya とお母さんが立ち話をしています。しっかり想像できたでしょうか。鮮明な映像(イメージ)がおもいうかべられたでしょうか。
このようなイメージとともに、キーフレーズ「I want an ice cream」をまずは記憶します。キーフレーズとイメージをひとまとまりにして、キーフレーズをいいながらイメージをおもいうかべ、イメージをおもいうかべながらキーフレーズをいいます。
イメージとキーフレーズをむすびつけたような、このような情報のひとまとまりのことを情報処理用語ではファイルといいます(図1)。イメージはファイルの本体、キーフレーズはファイルの見出しです。ファイルをつかいこなすためには見出しが必要です。
キーフレーズをきいたり いったりするときに、イメージ(場面)が瞬時におもいうかぶように、一方、イメージがうかんだときにキーフレーズが瞬時にでてくるように練習するとよいでしょう。
そしてつぎに、スキットを想像しながら(イメージしながら)、スキット全体の英文をくりかえし音読します。イメージをベースにして、キーフレーズ以外の英文も記憶します。このような訓練をすれば、1本のスキットがひとつのファイルとなり、記憶が定着しやすくなります。
番組テキストブックのうしろのほうには、「BONUS PRACTICE」として、「日本語を見て、英作文をして声に出して言ってみましょう」というコーナーがあります。この練習をするときにも、日本語を英語におきかえるのではなく、日本語をみたら、そのスキットの場面をおもいうかべて、そのイメージとともに英文を想起して、その英文をいうようにします。
記憶とは、心のなかに情報をファイルすることであり、心のファイリング・システムをつくることです。このようなファイリング・システムができれば、情報を自在につかえるようになります。このファイル法は英会話だけでなく、あらゆる分野の学習につかうことができます。
ラジオ英会話は、テレビ英会話あるいは DVD 教材とはちがって用意された映像(動画)がありません。このような観点からは、映像がすでにあるテレビ英会話や DVD 教材をつかったほうが記憶の効率はあがるといえます。映像とともに英文がおのずと記憶できてしまいます。
しかしラジオ英会話が不利だとはいえません。映像がないなら、みずから想像すればよいのです。これは、想像力をのばす訓練におのずとなります。想像力をきたえれば、物事をただ暗記しているだけの人とはちがい、物事の本質にアプローチする能力がたかまります。
▼ 関連記事
前置詞をイメージする -「英単語は日本語訳では語れない」(NHK ラジオ英会話, 2019.04)-
言葉とイメージ -「前置詞のイメージの完成」(NHK ラジオ英会話, 2019.05)-
イメージをうごかす -「基本動詞の征服 ①」(NHK ラジオ英会話, 2019.06)-
イメージと文型のシンクロナイズ -「基本動詞の征服 ②」(NHK ラジオ英会話, 2019.07)-
プログラムにしたがって練習する -「基本動詞の征服 ③」(NHK ラジオ英会話, 2019.08)-
類語をおぼえる -「基本動詞の征服 ④」(NHK ラジオ英会話, 2019.09)-
イメージして言う - 『おとなの基礎英語 Season3』(NHK テレビ DVD BOOK)-
心のなかに場面をファイルする -『大人の基礎英語 Season 2』(2)"Malaysia" -
一つの場面をファイルにして保持していく -『おとなの基礎英語 Season 4』(6)-
▼ 参考文献
『NHK ラジオ英会話 2019年10月号』NHK出版、2019年
栗田昌裕著『記憶力がいままでの10倍よくなる法』三笠書房、2018年
▼ CD:放送内容をコンパクトにまとめており、復習のために最適です。
▼ NHK ラジオ英会話はインターネットでもきくことができます。
NHK らじる★らじる
ラジオ英会話ストリーミング
▼ 今月のメッセージ
大西先生と番組パートナーのクリス&ろーざからのメッセージ動画をお楽しみください。
▼ 年間学習予定表
▼ 関連教材
2018年度の復習をしたい人、2018年度の番組をきけなかった人のために!
大西泰斗先生が講師をつとめる NHK ラジオ英会話の全講義を収載しています。
本書は、NHK ラジオ英会話の2018年度の内容を再構成してまとめたものです。音声は、NHK ラジオ英会話の CD の2018年度のものを再編集してまとめたもので、NHK 出版サイトからダウンロードできます。コンパクトに録音されているので効率的に学習できます。
Lesson 121 欲求・願望を表す ①:want
I want an ice cream.
want は、持っていないもの、欠けているものをもとめるつよい欲求をあらわす動詞です。この単語には生々しさが感じられ、とくに I(わたし)とむすびついて「I want・・・」 となると、場合によっては子どもっぽくひびいてしまうことがあります。would like は want より弱い表現ではありません。want から生々しさを排除した大人の表現です。
Lesson 122 欲求・願望を表す ②:wish、hope
I wish I had more free time.
wish は、うしろに節がくる場合はかならず仮定法となります。それは wish は、現実感のない願望をえがくドリーミーな動詞だからです。hope には wish にみられたドリーミーな質感はなく、いたって現実的な「願う」となります。
Lesson 123 知識を表す:know ①
I don’t know this area.
know は「知っている」。この文は「この地域を知らない」ということです。気楽な単語ですが、たくさんのニュアンスにみちたつかい方がこの動詞にはかくれています。
Lesson 124 知識を表す:know ②
We know you can do it.
know のおおきな特徴は、その内容が事実であるということにあります。
Lesson 126 見つける:find、discover
I’ll find some time to talk to your father.
find は「見つける」をあらわす基本動詞です。「あっ、あった」と頭にクリックがなるような感触で何かを見つけたり、何かに気づいたりします。discover は、cover をはずす(dis)から「発見する」となります。「おおっ」と、発見にともなうおどろきやよろこびが感じられます。
Lesson 127 わかる・気づく:realize、recognize、notice
I realized how important friendship is.
「わかる・気づく」にはいろいろな単語があつまっています。realize のイメージをしる手がかりは、この動詞がもつもうひとつの意味「実現する」にあります。realize は「 real(現実の)+ ize(~にする)」、何かを目に見える形にするということです。「わかる」の意味でつかわれる場合もおなじであり、ボンヤリとしか見えていないものをクッキリとリアルに認識することです。また recognize は、「 re-(再び) cognize(知る)」、過去のデータ・知識・経験にてらして「ああ、あれだな、とわかる」ということです。ことなったニュアンスをもつ「わかる・気づく」は notice、この単語は sense(感じる)にちかい単語であり、心のアンテナにひっかかるということです。
Lesson 128 理解する:understand、grasp、comprehend、follow
It’s hard to understand how big the universe is.
「理解する・わかる」を意味するもっとも標準的な動詞は understand です。「She doesn’t understand Japanese」といった日常表現にもつかえます。同情・共感を相手によせるニュアンスでもつかうことができます。grasp は「つかむ」、ここから「キッチリ理解する」となります。comprehend は「理解する」ですが「 com(完全に)+ prehend(つかむ)」という語源をもち、「難しい内容を完全につかむ」というイメージのかたい単語です。follow は「ついていく」から「理解」となります。とても自然な流れです。
Lesson 129 思考を表す動詞 ①:think
Can I have some time to think about it?
思考系動詞の代表選手は think です。think はもっとも幅ひろくつかわれる基本動詞です。この文では、about のもつ「周り」というニュアンスが「(それに)まつわるさまざまなことを」という意味をくわえ、「よく考える・思い巡らす」という意味でつかわれています。
Lesson 131 思考を表す動詞 ②:believe
Can you believe this?
believe は「信じる」です。think(思う・考える)が「頭」についての動詞なら、believe は「心」についての動詞です。think よりもふかく心の中に根をおろしている単語が believe です。-er をつけて thinker なら「思想家・考える人」ですが、believer は「信仰者・信じている人」のことです。
Lesson 132 思考を表す動詞 ③ think の「上」と「下」: consider、guess
Take time to consider your options.
think よりもふかい熟考をかさねるのが consider です。「よく考える」は think about でも OK ですが、単体ならこの動詞です。頭をしっかりまわして「考える・熟考する」という意味です。think よりも思考過程が感じられないのが guess です。この動詞は、「推測する・(何となく)思う」、確信はありませんし、そもそも判断に役立つ情報もあまりありません。
Lesson 133 思考を表す動詞 ④ 予期する・想像する:expect、imagine
I didn’t expect rain.
expect の成り立ちは「ex-(外を) spect(見る)」、「当然こうなるはずだ」と予期・期待するという単語です。この単語は名詞や節のほか、to 不定詞といいコンビネーションを作ります。「これから」がつよく含意されるためです。「予期する」とちかい位置にある、おもいえがくタイプの動詞に imagine(想像する)があります。心にイメージをえがきます。
Lesson 134 思考を表す動詞 ⑤ ひとクセある「思う」:suppose、assume
We are supposed to meet them in twenty minutes.
「思う」を意味する動詞には、ニュアンスの理解がむずかしいものがあります。be supposed to は規則や法律・約束などの決まり事(~することになっている)をあらわします。それは、suppose の語源が「下に置く」であり、「判断の土台」が感じられる動詞だからです。思考系のもうひとつのやっかいな動詞が assume です。「~が本当だと思う・仮定する」といった意味ですが、この単語のイメージは take(うけいれる)です。あることが本当だとうけいれる、ある仮定をうけいれるということです。
Lesson 136 思考を表す動詞 ⑥ 推論する:doubt、suspect、speculate
I doubt it.
「推測」は、わたしたちが日常おこなう重要な思考のひとつです。doubt は「疑う」と訳される動詞ですが「そうじゃない」とおもう心のうごきをあらわします。「疑う」と同様に訳されることがある suspect は「~なのではないかと疑う」、つまり「もしかするとこうではないか」とかんがえる心のうごきをあらわします。ネイティブスピーカーは suspect をつかうときにしばしば眉根をよせます。すぐには結論づけることのできない内容を複雑な論理の筋道をおいながらはなしているからです。suspect は名詞でつかえば「容疑者・被疑者」、「やったんじゃないのか」ということです。speculate(推測・臆測する)の単語のイメージは「確たる証拠がない」です。結論をだそうとしていますが証拠がすくなすぎて確たることはいえないということです。
Lesson 137 思考を表す動詞 ⑦:wonder
I wonder if she still thinks about me.
wonder のイメージは「?」です。つよくおおきなクエスチョンマークです。この文では、if 節(~かどうか)をともない、「まだ僕のことを考えているのかどうか」と頭に「?」をうかべています。つまり独り言です。
Lesson 138 好き・嫌い:love、adore、worship、hate
I love you more than words can say.
love は、人間のもつもっともうつくしい感情でしょう。like より格段につよくふかい意味をもちます。ロマンチックな感情にもつかえますが家族や大好きなモノ・事にもひろくつかえます。love よりも意味がつよい単語が adore、ほこらしくおもう気持ちがまざったふかい意味をもちます。「ひざまずいてもいい」とすらおもえる無条件の称賛をふくんだ愛情は worship(崇拝する)、本来は神様に対する感情です。一方、もっと嫌いな場合は hate(憎む・大嫌い)をつかいます。
Lesson 139 英会話の中心にある動詞:respect
We need to respect each other’s opinions.
respect は、何かすばらしいことをなしとげた人を「称賛する」ことではありません。あるいは目上の人(年上・権威ある人・親など)を尊敬する・あおぎみることでもありません。respect は、たとえ意見がちがっていても、たとえすきではなくても、その価値を認め、すばらしいものだと「尊重する・一目置く・認める」ことです。相手を respect するのは、相手の基本的人権をみとめることに非常にちかいです。
*
5ヵ月間もつづいた基本動詞の学習は今月でおわります。たくさんの動詞のつかいかたがわかりました。ひとまとまりのことをなしとげると達成感がえられます。どのような課題にとりくむにしても達成体験がとても大事です。
番組では、スキット(ダイアログ)を音読し暗唱することをすすめています。十分な数の例文を記憶しておけば英会話中に口ごもることがすくなくなります。また登場人物のおかれた状況や心理に心をよせながら練習すれば効果が倍増します。
そこで具体的には、スキットのリスニング・音読・暗唱をするときに、スキットの状況・場面を想像してみる(映像をおもいうかべてみる)とよいです。
たとえば Lesson 121 のスキットはつぎのとおりです。
Koya: Mom, I want an ice cream. Just like the one that girl is eating.
Mom: Koya, we’re going to have a nice dinner on the big ship in an hour. Remember?
Koya: That’s not a problem. I can eat both.
Mom: No, it’ll ruin your appetite.
Koya: How about some popcorn instead?
Mom: Koya, we came to this amusement park for the rides, not the food.
Koya: I know, but pleeeeeeeeease!
場所は遊園地です。背景に、観覧車を想像してください。その前で、女の子がアイスクリームをたべています。そこからすこしはなれたところで Koya とお母さんが立ち話をしています。しっかり想像できたでしょうか。鮮明な映像(イメージ)がおもいうかべられたでしょうか。
このようなイメージとともに、キーフレーズ「I want an ice cream」をまずは記憶します。キーフレーズとイメージをひとまとまりにして、キーフレーズをいいながらイメージをおもいうかべ、イメージをおもいうかべながらキーフレーズをいいます。
イメージとキーフレーズをむすびつけたような、このような情報のひとまとまりのことを情報処理用語ではファイルといいます(図1)。イメージはファイルの本体、キーフレーズはファイルの見出しです。ファイルをつかいこなすためには見出しが必要です。
図1 ファイルのモデル
キーフレーズをきいたり いったりするときに、イメージ(場面)が瞬時におもいうかぶように、一方、イメージがうかんだときにキーフレーズが瞬時にでてくるように練習するとよいでしょう。
そしてつぎに、スキットを想像しながら(イメージしながら)、スキット全体の英文をくりかえし音読します。イメージをベースにして、キーフレーズ以外の英文も記憶します。このような訓練をすれば、1本のスキットがひとつのファイルとなり、記憶が定着しやすくなります。
番組テキストブックのうしろのほうには、「BONUS PRACTICE」として、「日本語を見て、英作文をして声に出して言ってみましょう」というコーナーがあります。この練習をするときにも、日本語を英語におきかえるのではなく、日本語をみたら、そのスキットの場面をおもいうかべて、そのイメージとともに英文を想起して、その英文をいうようにします。
記憶とは、心のなかに情報をファイルすることであり、心のファイリング・システムをつくることです。このようなファイリング・システムができれば、情報を自在につかえるようになります。このファイル法は英会話だけでなく、あらゆる分野の学習につかうことができます。
ラジオ英会話は、テレビ英会話あるいは DVD 教材とはちがって用意された映像(動画)がありません。このような観点からは、映像がすでにあるテレビ英会話や DVD 教材をつかったほうが記憶の効率はあがるといえます。映像とともに英文がおのずと記憶できてしまいます。
しかしラジオ英会話が不利だとはいえません。映像がないなら、みずから想像すればよいのです。これは、想像力をのばす訓練におのずとなります。想像力をきたえれば、物事をただ暗記しているだけの人とはちがい、物事の本質にアプローチする能力がたかまります。
▼ 関連記事
前置詞をイメージする -「英単語は日本語訳では語れない」(NHK ラジオ英会話, 2019.04)-
言葉とイメージ -「前置詞のイメージの完成」(NHK ラジオ英会話, 2019.05)-
イメージをうごかす -「基本動詞の征服 ①」(NHK ラジオ英会話, 2019.06)-
イメージと文型のシンクロナイズ -「基本動詞の征服 ②」(NHK ラジオ英会話, 2019.07)-
プログラムにしたがって練習する -「基本動詞の征服 ③」(NHK ラジオ英会話, 2019.08)-
類語をおぼえる -「基本動詞の征服 ④」(NHK ラジオ英会話, 2019.09)-
イメージして言う - 『おとなの基礎英語 Season3』(NHK テレビ DVD BOOK)-
心のなかに場面をファイルする -『大人の基礎英語 Season 2』(2)"Malaysia" -
一つの場面をファイルにして保持していく -『おとなの基礎英語 Season 4』(6)-
▼ 参考文献
『NHK ラジオ英会話 2019年10月号』NHK出版、2019年
栗田昌裕著『記憶力がいままでの10倍よくなる法』三笠書房、2018年
▼ CD:放送内容をコンパクトにまとめており、復習のために最適です。
▼ NHK ラジオ英会話はインターネットでもきくことができます。
NHK らじる★らじる
ラジオ英会話ストリーミング
▼ 今月のメッセージ
大西先生と番組パートナーのクリス&ろーざからのメッセージ動画をお楽しみください。
▼ 年間学習予定表
▼ 関連教材
2018年度の復習をしたい人、2018年度の番組をきけなかった人のために!
大西泰斗先生が講師をつとめる NHK ラジオ英会話の全講義を収載しています。
本書は、NHK ラジオ英会話の2018年度の内容を再構成してまとめたものです。音声は、NHK ラジオ英会話の CD の2018年度のものを再編集してまとめたもので、NHK 出版サイトからダウンロードできます。コンパクトに録音されているので効率的に学習できます。