コガラパゴスフィンチ(左)とチリマネシツグミ(右)
(平行法で立体視ができます)
(平行法で立体視ができます)
ダーウィンは、ビーグル号の世界一周航海ののち、20年をかけて研究をかさね進化論を発表しました。大英自然史博物館では、視覚的・体験的・直観的にダーウィンの業績をとらえることができます。
東京・上野の国立科学博物館で「大英自然史博物館」展が開催されています(注1)。写真はいずれも平行法で立体視ができます。
立体視のやり方 - ステレオグラムとステレオ写真 - >>
自然史博物館といえば進化論、進化論といえばダーウィン(1809-1822)です。本展ではダーウィンの業績についてもくわしくみることができます。
ダーウィンは、ビーグル号の世界一周の航海に参加して世界各地で標本を採集し、その後20年におよぶ研究をへて1859年に進化論を発表しました(注2)。
コガラパゴスフィンチ( Small ground finch)はダーウィンが研究したガラパゴス諸島のフィンチ類です。ダーウィンは、さまざまな種類のフィンチは共通祖先から派生したものだという仮説をたてました。またマネシツグミからヒントをえて自然選択による進化論を発展させました。チリマネシツグミ(Chilean mockingbird)はチリで採集しただけでなく、3000kmはなれたガラパゴス諸島でも手にいれ、それらを比較して、島にすむマネシツグミは、大陸の近縁種とはことなる特徴を発達させたものであることをあきらかにしました。
本展は、ダーウィンの業績について実物標本をとおして体系的にまなべるまたとない機会になっています。書籍(テキスト)を読んだだけでわかった気になるのではなく、標本を実際に観察して視覚的・体験的・直観的に理解することも大切です。むしろ、視覚的・体験的・直観的にとらえた後でテキストを読んだほうが認識はふかまります。
わたしは1999年に、大英自然史博物館に行ったことがありましたが、そのときよりも今回の特別展の方がいろいろなことがよくわかります。課題ごとに系統的に標本を整理し、情報をみごとに圧縮して提供してくれる特別展は本当にありがたいです。
▼ 大英自然史博物館(撮影:1999年12月、立体視はできません)

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▼ 注1
大英自然史博物館展(国立科学博物館)
大英自然史博物館展(特設サイト)
公式動画
▼ 注2
ダーウィンののったビーグル号は、1831年12月27日、イギリス・プリマス港をを出港、当初2年を予定していた航海は5年におよびました。ビーグル号にとっては2度目の航海でした。ダーウィンは、ガラパゴス諸島以外にも、南アメリカ大陸などの各地に上陸して調査・収集をおこない、自然選択による進化論のアイデアをえました。ロンドンにかえったのち資料の整理やさまざまな実験をおこない、『種の起源』としてあらわすまでに20年の時を要しました。
▼ 参考文献
国立科学博物館・読売新聞社編集『大英自然史博物館展 図録』読売新聞社発行、2017年
立体視のやり方 - ステレオグラムとステレオ写真 - >>
自然史博物館といえば進化論、進化論といえばダーウィン(1809-1822)です。本展ではダーウィンの業績についてもくわしくみることができます。
ダーウィンは、ビーグル号の世界一周の航海に参加して世界各地で標本を採集し、その後20年におよぶ研究をへて1859年に進化論を発表しました(注2)。
コガラパゴスフィンチ( Small ground finch)はダーウィンが研究したガラパゴス諸島のフィンチ類です。ダーウィンは、さまざまな種類のフィンチは共通祖先から派生したものだという仮説をたてました。またマネシツグミからヒントをえて自然選択による進化論を発展させました。チリマネシツグミ(Chilean mockingbird)はチリで採集しただけでなく、3000kmはなれたガラパゴス諸島でも手にいれ、それらを比較して、島にすむマネシツグミは、大陸の近縁種とはことなる特徴を発達させたものであることをあきらかにしました。
ダーウィンが発見した腕足動物の化石(Darwin's brachiopods)
(デボン紀前期、約4億年前)
1833年、ダーウィンはフォークランド諸島に到達しました。岩石を割ってみたところこの化石がみつかり、そこは、腕足動物の宝庫であることがわかりました。腕足動物は、古生代には地球上でもっともさかえた無脊椎動物でした。キサントパンススズメガの一種(Darwin's sphinx moth)
マダガスカル固有のスイセイランは、30cmもの長さの管状の形をした特殊な花をもちます。ダーウィンは、このような花を受粉させるためには、これに応じた形態をもつ生き物がいるにちがいないという仮説をたてました。それから80年後、このガが発見されてダーウィンの仮説が実証されました。トクソドンの歯化石(Toxodon tooth)(更新世、約1万5000年前)
ダーウィンは南アメリカで、サイにみえるが、実はまったくことなる系統の絶滅種の南蹄類の歯化石を採集しました。ながい地質時代をとおしてほとんど形がかわらないグループがいる一方、大きく形をかえ、あたらしい種をうみだすようなグループがいたことに気がつきました。チャールズ=ダーウィン『種の起源』("On the Origin of Species")手稿
写真の手稿は「本能について」の章の1ページです。ダーウィンは、20年にわたってアイデアを精密化し、1859年にこの本を出版しました。「種は、神による干渉なしに、徐々にかつ必然的に進化する」という仮説が物議をかもすであろうことはわかっていました。しかし初版はまたたくまに売りきれました。*
本展は、ダーウィンの業績について実物標本をとおして体系的にまなべるまたとない機会になっています。書籍(テキスト)を読んだだけでわかった気になるのではなく、標本を実際に観察して視覚的・体験的・直観的に理解することも大切です。むしろ、視覚的・体験的・直観的にとらえた後でテキストを読んだほうが認識はふかまります。
- 視覚的・体験的・直観的にとらえる
- テキストを読む
わたしは1999年に、大英自然史博物館に行ったことがありましたが、そのときよりも今回の特別展の方がいろいろなことがよくわかります。課題ごとに系統的に標本を整理し、情報をみごとに圧縮して提供してくれる特別展は本当にありがたいです。
▼ 大英自然史博物館(撮影:1999年12月、立体視はできません)





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▼ 注1
大英自然史博物館展(国立科学博物館)
大英自然史博物館展(特設サイト)
公式動画
▼ 注2
ダーウィンののったビーグル号は、1831年12月27日、イギリス・プリマス港をを出港、当初2年を予定していた航海は5年におよびました。ビーグル号にとっては2度目の航海でした。ダーウィンは、ガラパゴス諸島以外にも、南アメリカ大陸などの各地に上陸して調査・収集をおこない、自然選択による進化論のアイデアをえました。ロンドンにかえったのち資料の整理やさまざまな実験をおこない、『種の起源』としてあらわすまでに20年の時を要しました。
▼ 参考文献
国立科学博物館・読売新聞社編集『大英自然史博物館展 図録』読売新聞社発行、2017年