法則についてまなぶことは現象や物質の根本を知ることになります。これは、人間の叡智をまなぶことであり、効率のよい勉強法でもあります。
白鳥敬著『定理と法則 105』(学研プラス)は「運動量保存の法則」についても解説しています。




運動量保存の法則:2つの物体が、それぞれの間だけで作用しあい、外部から力を受けない場合、物体の運動量の和は一定である。


運動量保存の法則を利用した玩具「カチカチボール」の動画はこちら(ウィキペディア)で見ることができます。

物体の質量に速度を掛けたものを運動量といいます。物体のあいだに力が作用しあうとき、力が作用する前と後では、運動量がおなじであるというのがこの法則です。カチカチボールの現象は、運動量という抽象的な概念をもってくることによって説明することができます。

わたしたちは、法則そのものは見ることはできません。物質や現象を見て、その奥底に法則があるとかんがえます。この世の中(宇宙)は、そのような根底にあるものによってうごかされていると科学者はかんがえます。

たとえば、快晴の空に雲が生じます。雲は形をかえ、量をふやし、太陽光線をさえぎり、雨をふらせ、また形をかえて、消えていきます。このような現象は熱力学の法則によって生じるとかんがえます。法則そのものは見えませんが物質や現象は見ることができます。




たとえば〈x軸, y軸, z軸〉からなる三次元の座標系をかんがえてみましょう。この座標系のなかで生じるのが物質や現象です。座標系のなかの物質や現象は法則によって生じ、変化していきます。

しかし座標系には原点(ゼロ)があります。ここには何もないのでしょうか。そうではありません。ここには法則があります。法則は、物質や現象が生じたり変化したりする以前のもの、プラスとマイナスが生じる以前のもの、光と影が生じる以前のもの、成功と失敗が生じる以前の根本のものです。物質や現象は、座標系のなかのあちこちに生じますが、原点(ゼロ)はつねに不変です。

世の中はうつろいゆくものです。しかし根本は不変です。法則は原点(ゼロ)にあるようなもの、ゼロは無ではなく、有と無が生じる以前の根本のものととらえることもできるのではないでしょうか。

話がややむずかしくなりましたが、法則の探究には、理系・文系をとわず人間の叡智がつめこまれています。法則をまなぶことは人間の叡智を圧縮してまなぶことです。これは効率のよい勉強法でもあります。白鳥敬著『定理と法則 105』(学研プラス)が役立ちます。


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白鳥敬著『定理と法則 105』(人に話したくなる教養雑学シリーズ)学研プラス、2013年9月11日