人間は、感覚によって外界の情報を内面にとりいれ、情報処理をして認識や判断をしています。ただしい認識や判断のために定量的に感覚をとらえることが重要です。
白鳥敬著『定理と法則 105』(学研プラス)は「ウェーバーの法則」についてもとりあげています(注1)。
ウェーバーの法則:重くなったと識別できる刺激の量は、増加した量と最初の量との比で決まる。ウェーバー=フェヒナーの法則:人体に対する刺激は、強度の対数に比例して知覚される。
たとえばノートパソコンをもって、つぎにスマートフォンをもった場合は、ノートパソコンの方が重いと誰もが感じるでしょう。しかしことなるメーカーの似たような2台のノートパソコンをもった場合は、重さのちがいは感じられるでしょうか。
ウェーバーの弟子のフェヒナーは、ウェーバーの法則をもとにして、「人が感じる感覚は刺激が強くなるとだんだん感じにくくなる」ことをあきらかにしました。
たとえばロウソクが1本たっているときにもう1本をくわえるとあかるくなったと感じます。しかし10本たっているときにもう1本をくわえたらどうでしょうか。同様なことは、味覚や嗅覚や聴覚についてもいえます。
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わたしたち人間は感覚によって外界の情報を内面にとりいれ、情報処理をして認識や判断をしています。このように感覚があいまいだとただしい認識や判断ができるでしょうか。
ウェーバーとフェヒナーは人間の感覚を定量的にとらえる研究をしました。感覚を定量化する。一般の人々にはあまり注目されないかもしれませんが実はとても重要なことです。
実際、物事を定量化したことによって科学も進歩してきました。あるいは定量的な議論ができるかどうかでプロフェッショナルとアマチュアの区別が意外に簡単にできます。専門家は定量的なことがいえますが、アマチュアは定性的な理解にとどまっています。
したがってある課題について人並み以上に認識をふかめようとおもったら、定性的な認識にくわえて定量的な理解をするようにするとよいです。このような方法で、意外にも短期間で、その分野のプロと議論ができるようになれる場合があります。
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わたしはある日、海外から帰国しようとおもって、ホテルで、スーツケースに荷物をつめていました。おみやげも買ったのでかなりの重さになってしまいました。航空機の重量制限(25キログラム)をオーバーしているのではないかとおもってフロントにいって事情をはなしたら、いつも世話になっているトラヤアさんがでてきて、スーツケースを手でもちあげていいました。
23 キロぐらいですよ。大丈夫ですよ。
そして空港で、チェックインするときにみてみたら 23.3 キロでした。トラヤアさんはプロフェッショナルでした。感覚を、定量的にとらえることをおしえられました。
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▼ 注1:参考文献白鳥敬著『定理と法則 105』(人に話したくなる教養雑学シリーズ)学研プラス、2013年9月11日
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▼ 注1:参考文献