法則や原理を知識として記憶してもあまり意味はありません。思考しつかってみることに意義があります。
白鳥敬著『定理と法則 105』(学研プラス)はさまざまな定理や法則を解説していて興味ぶかいです。



おもしろいものをいくつかピックアップしてみます。


  • 悪魔の証明:存在しないことを証明することは不可能である。
  • イノベーションのジレンマ:技術革新は次なる技術革新を拒む。
  • エピメニデスのパラドックス:クレタ人は嘘つきだとクレタ人が言った。
  • 遠距離恋愛の法則:男女の間の距離が近いほど心理的距離は近くなる。
  • エントロピー増大の法則:自然は平衡状態を望む(整理整頓された部屋から乱雑な部屋への変化)。
  • 黄金比:線を2つに分割するとき、「全体 (a+b):大きな部分(b)」の比と「大きな部分(b):小さな部分 (a) の比が等しくなる分け方。
  • カクテルパーティー効果:騒音の大きなところでも人間の耳は人の声を聞き分けることができる。
  • ゲシュタルト心理学:人間の心を部分の集合ではなく全体性を持った構造と捉える心理学的立場。
  • 囚人のジレンマ:最善策のはずなのに相手次第で変わってしまう。
  • バタフライ効果:複雑系ではわずかな状態の変化が非線形に拡大していき予測はできない(蝶の羽ばたきが地球規模の気候変動をもたらす)。
  • ピーターの法則:社員は出世するほど無能になる。
  • プレグナンツの法則:視覚は対象を一つのまとまりとして見ようとするが、そのとき最も簡潔なまとまりとして見ようとする。
  • ヘッブの法則:ニューロン発火が繰り返されるとシナプス結合が強くなる(記憶が良くなる)。


法則といわれるものであっても、時代がかわったり後世になって、否定されたり修正されたり限界があきらかになったりします。万有引力の法則もそうでした。

あるいは法則や原理を実際につかって、やってみて失敗したのに、「想定外でした」などといってごまかそうとする科学者・技術者もいます。

法則といわれているものでも結局は仮説であるのです。しかし仮説をたてることによって知の体系がなりたつのも事実です。

法則や原理などを知識として記憶してもあまり意味はないでしょう。法則や原理についてみずから思考してみる、あるいは実際にためしてみる、つかってみることに意義があるのだとおもいます。


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▼ 参考文献
白鳥敬著『定理と法則 105』(人に話したくなる教養雑学シリーズ)学研プラス、2013年9月11日