
図1 イメージして言葉を書きだす
子供たちが、顔をイメージしながら「へのへのもへじ」と書きだすように、イメージをおもいうかべて言葉を書きだすとアウトプットがすすみます。
「へのへのもへじ」は、日本人だったら誰もが知っている文字絵です。これは、文字(言葉)と絵(イメージ)が融合したおもしろいアート(?)です。
小さな子供たちは、「へのへ・・・」と書きながら顔の絵を完成させていきます。この過程をみていると、文字を先に書いて、そして絵ができあがっていくようにみえます。
しかし実際には、子供たちの心のなかに顔のイメージがすでにあって、それをおもいうかべながら「へのへ・・・」と書いているというのが本当のところでしょう。
子供たちは人の顔を見ていてその概略をすでに知っています。目やまつげや鼻や口がどこにあるのかおぼえています。心のなかで人の顔をイメージできるからこそ、「へ」のつぎの「の」はどこに書き、「も」のあとの「へ」はどこに書けばよいか、空間配置ができるのです。
情報処理的にいうと、心のなかで顔をイメージするのはプロセシング、「へのへのもへじ」と書きだすのはアウトプットです。すなわちプロセシングはイメージですすめ、アウトプットでは言葉をつかっているということです(図1)。
この方法は、あらゆるアウトプットのためにつかえます。筆記試験でもプレゼンテーションでもつかえます。
全体的なイメージを先にえがいて、そして言葉を書きだせばよいのです。したがって常日頃から、役にたちそうなイメージをおぼえるようにしたりあるいは自分でイメージをつくりだしておきます。イメージは、全体像とともに要素の空間配置も重要です。
従来の学習法では、書籍の言葉を黙読したり教師の話を聞いたりして、ノートに要点を書きだしていくといったことが中心で、イメージ訓練ができていませんでした。
黙読だけをしていると、音を処理する一次元的な回路だけをつかって情報を処理しなければならずストレスがたまります。これに対して、イメージをベースにした三次元的な情報処理(視覚系の情報処理)では大量の情報を一度に処理することができ、アウトプットがはるかにやりやすくなります。
「へのへのもへじ」には、実は、人の情報処理の仕方を変革していく重要な原理がふくまれているのです。
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