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ザトウクジラの頭骨(平行法で立体視ができます)

小笠原諸島は生物多様性にとても富んでいます。小笠原の自然をまもっていくことは日本国にとっての国家的な課題です。

東京・上野の国立科学博物館で企画展「小笠原国立公園」が開催されています(注1)。国立科学博物館と環境省は、2020年の東京オリンピックの開催にあわせて日本の「国立公園」の企画展を計画しています。今回はその先駆けとして小笠原国立公園をとりあげました。

小笠原諸島は、東京から約1000km南に位置する亜熱帯の島々で構成され、大陸と陸続きになたことがない「海洋島」であるため、独自の進化をとげた動植物や生態系を有しています。そのため2011年には世界自然遺産に登録されました。

ステレオ写真はいずれも平行法で立体視ができます。
立体視のやり方 - ステレオグラムとステレオ写真 - >>
 
 

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無人岩(枕状溶岩)
このあたりの島はかつては無人島だったのことにちなんで無人岩といいます。これは、約4600〜4800万年前に海底へ噴出したマグマがかたまってできた岩であり、枕がつみかさなったような形をしているので学術的には枕状溶岩といいます。



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オガサワラコウモリ
オガサワラコウモリは、日本館2階南翼の常設展「小笠原諸島の生き物」に展示されています。常設展示もあわせてみると生物多様性について理解できます。



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多様な種類に分化した陸生貝類
小笠原諸島の陸生貝類(カタツムリの仲間)は、さまざまな環境に適応して独自の進化をとげました。固有種率が90%以上(約100種)と非常に高く、大きな多様性があります。



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グリーンアノール(外来種)
人間の活動にともなって島の外からはいってきた外来種により、小笠原諸島の固有種は深刻な被害をうけています。このため環境省などは、外来種の駆除や拡大防止などのプロジェクトをすすめています。




小笠原の自然をまもっていくためには国がうごくだけでなく、地元の人々の協力も不可欠です。地元住民や国民の協力は、あらゆる国立公園や世界自然遺産をまもっていくために必要なことです。そのためには今回のような企画展を積極的に開催して、できるだけ多くの人々に、生物多様性の重要性や外来種の現実、保全活動の進捗状況を知ってもらうようにしなければなりません。

企画展などの展示はわかりやすことが第一です。展示のレベルをさげずにわかりやすく表現することは大変むずかしいことですが、とりくんでいかなければなりません。
 

▼ 注1
企画展「小笠原国立公園」
会場:国立科学博物館(地下1階 多目的室)
期間:2016年12月23日~2017年2月12日