水族館にいったら魚たちだけでなく、魚がはいっている水槽全体に心をくばり、その空間全体をイメージするようにすると生態系の理解がはやまります。

地球環境を保全するためにはサンゴ礁などの海の生態系もまもっていかなければなりません。

サンシャイン水族館(注1)は、さまざまな海の生き物をそれぞれの生態系別に飼育・展示しています。生態系とは、ある地域に生きているさまざまな生き物と、それらをとりまく環境とを一体にしてとらえたシステムのことです(図1)。

170112 生態系
図1 生態系のモデル


わたしたち一般の人間は海のなかに実際にもぐっていくことはむずかしいので、海の生態系を知るためにはよくできた水族館を利用するのが一番です。

水族館で生態系を理解するためには、個々の魚たちだけでなく、それらがはいっている水槽全体に心をくばるようにするとよいでしょう。魚たちを要素とみなすと、水槽全体はそれらをいれている空間です。

  • 要素:魚たち
  • 空間:水槽

そこである水槽の前にいったら1分ぐらい水槽全体をながめて、つぎに、いったん眼をとじてその水槽全体をイメージしてみます。ありありとリアルにイメージできるでしょうか。ここでおもいうかべるのはあくまで空間イメージです。




水族館にいくと、おもしろい魚たちがたくさんいるのでほとんどの人が魚(要素)に注目するとおもいます。これはあたりまえのことであり、第一にはそれでかまいません。

しかし水槽全体(空間)をみわたしている人はすくないのではないでしょうか。生態系を知るためには、要素だけでなく空間にも心をくばることが大切です(図2)。

170112b 生態系
図2 空間に心をくばる


そのためのひとつのテクニックが周辺視野をつかうことにあります。

わたしたちが物をみるときの視野において、中心ははっきり見えますが、周辺にいくほどボヤッと見えます。中心視野では対象がくっきりととらえられますが、周辺視野では、そこの空間全体の様子が三次元でわかります。このように周辺視野もつかって、視野全体で水槽をみわたすようにすればありありと空間がイメージできるようになります(注2)。

このように要素イメージだけでなく空間イメージをえがくことが生態系の理解のためには大切です。要素だけでなく空間にも心をくばるということです。


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▼ 注1
サンシャイン水族館
※ 参考資料:『サンシャイン水族館 オフィシャルガイドブック 〜水族館を120%楽しむために!〜』株式会社サンシャインティ、2011年7月6日(水族館のショップで買えます)

▼ 注2
中心視野で、それぞれの要素をはっきりと見るということは、だれもがおこなっている常識的な方法であり、これによって知識を確実に増やしていくことができます。学校教育などでもさかんにおこなっています。それに対して、周辺視野で空間をとらえる方法はあまりおこなわれていません。しかし生態系を理解したり環境保全をすすめるためには必要な方法です。これからの時代は、要素イメージと空間イメージの両方が必要です。
  • 要素イメージ
  • 空間イメージ