鎮守の森プロジェクトがすすんでいます。全国各地で植樹をすすめることは、人と自然が共生するための第一歩です。

わたしも協力している「鎮守の森」プロジェクトの2016年次報告書がとどきました。

2016年の植樹本数:160,200本
2016年の参加人数:17,237人
樹種:タブノキ、スダジイ、ヤブヅバキ、ヤマザクラ、ヤツデ、シロダモなど 

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鎮守の森プロジェクトは、東日本大震災の復興プロジェクトとしてはじまった「瓦礫を活かす森の長城」プロジェクトの名称を変更したプロジェクトであり、今後は、東日本をはじめ全国各地で植樹を展開していくことになりました。

これは、その土地に適した十数種類の木を密植・混植して森をつくっていくという計画です。この方式により、在来の多様な樹種によって構成されるゆたかな森をつくることができます。

植えられた苗木は、約20年かけて、高木層・亜高木層・低木層・草本層(下草層)というようにすみわけをしながら多層構造の森を形成します。

  • 高木層(約15〜25m)
  • 亜高木層(約3〜15m)
  • 低木層(約1〜3m)
  • 草本層(0〜約1m)
高さは目安です。

このような森は、津波の威力を減衰させる役割をもち、強風などの気象条件に対しても抵抗力をもつ、災害から命をまもる森になります。またその地域に生育するさまざまな生物もささえる生物多様性にとんだ森になります。




簡単なモデル(模式図)にすると図1のようになります。


170102 鎮守の森
図1 津波の威力を減衰させる


植樹によってできた森(人工林)は、自然災害をやわらげる緩衝帯の役割をはたします。海は自然環境の一種です(図2)。


170102b 鎮守の森
図2 緩衝帯のモデル


この基本的なかんがえ方は里山とおなじです。里山は、そこでくらす人々の生活をささえる二次的自然地帯であり、自然災害をやわらげる緩衝帯でもあります。

本来の日本人は、このような「手の入った自然」、人々の生活と自然とが一体になって循環するシステムをつくりだすことによって自然と共生してきたのです。

このようなすぐれた仕組みを震災を機会に再生させていくことが重要でしょう。植樹は、そのための具体的・実践的な第一歩です。


▼ 資料
『2016年次報告書』公益財団法人 鎮守の森プロジェクト、2016年12月

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