最初の生命は海の水のなかで誕生しました。海は、生命にとって最初の環境でした。海の起源について知ることは、生命の誕生と進化を知るために重要なことです。

グラフィックサイエンスマガジン『Newton』の2017.2号のシリーズ「海のすべて第4回(最終回)」では「海誕生の謎にせまる」と題して、どのようにして海の水が地球にもたらされたのかについて解説しています。




最初に紹介する仮説は、水は地球の材料となった「微惑星」の中に含まれていたというものです。 

二つ目の仮説は、地球が原始太陽系円盤の中で成長していく過程で、円盤中の水素ガスを大気としてまとい、その水素ガスと酸素が化学反応して水ができたというものです。

三つ目の仮説は、地球の原型ができあがった後、氷の塊である彗星など、水を含んだ小天体が大量に降りそそぎ、海になったというものです。

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今から約46億年前に、銀河系(天の川銀河)の片隅に太陽が誕生し、その周囲には水素ガスと個体のちり(ダスト)からなる「原始太陽系円盤」がありました。その円盤のなかで地球は成長していったとかんがえられています。

この過程のなかで地球に水がもたらされ、地表にたまり海になりました。そしてその海のなかで最初の生命が誕生しました。その後、その生命が進化して今日のわたしたち人間になったのです。




したがって海の水は、生命にとっての最初の環境であったのであり、その起源と仕組み・作用を知ることは生命の認識をふかめるために必要なことです。

生命が進化して、海のなかから陸上に進出したときには、海の水の環境を体のなかにとりこんで(インプットして)、陸上にあがったとかんがえることもできます。わたしたち人間(おとな)は体重の約60パーセントが水です。わたしたちの体のなかに水が多いのはこのためであるのではないでしょうか。

このように生命と環境とは切っても切れない関係にあり、生命について認識するときには、同時に、環境についても認識をふかめなければなりません。


▼ 引用文献
『Newton 2017年 2 月号』ニュートンプレス、 2016年12月26日

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