がん検診には、メリットとデメリットがあります。がん検診については事実と解釈を区別して認識し、そしてみずから選択します。

グラフィックサイエンスマガジン『Newton』の2017.2号の "Topic" では、「科学的に有効な『がん検診』とは?」と題して、がん検診には、メリットとデメリットが存在することを解説しています(注1)。

最近の統計では、1年で150人に1人が、がんだと診断されているそうです(注2)。



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がん検診を受診する個人における最大のメリットは、早期がんを発見して死亡を防げることだ。(中略)しかし、あまり意識したことはないかもしれないが、がん検診には少なからずデメリットがつきまとう。



検診のデメリットとしてはつぎのようなものがあるそうです。

  • 実際にはがんであるにもかかわらず、陰性だと検診で判断される例が一定の確率で存在します。がんの疑いがない人を陰性、がんの疑いのある人を陽性といいます。つまり見落としが生じてしまうのです。陰性といわれたのに実際にはがんがあると、がんが進行してしまうかもしません。
  • 検診で陽性とされても、精密検査により早期がんが実際にみつかる確率は非常に低いです。この場合は、がんではないにもかかわらず精神的ストレスが生じ、また精密検査(X線検査や内視鏡検査など)による体への負担が大きくなってしまいます。
  • がんのなかには、自然に消滅するものもあります。また早期がんから進行がんへの成長がおそいために直接の死因にならないがんもあります。これらの治療の必要のないがんが検診によりみつかり、精密検査や治療をうける場合、本来は不必要だった精神的ストレスや体の負担が生じてしまいます。
  • 患者数がすくない種類のがんに対する検診を実施しようとすると、メリットをえられる人がいる一方で、デメリットをうける人の割合が非常に高くなってしまいます。
  • 画期的な検診手法の開発は非常にむずかしいのが現状です。




詳細は、『Newton』の記事をよんでいただくとして、重要なのは、何が事実(データ)で何が解釈(仮説)なのか、事実と解釈を区別して認識することです。科学とは、データと仮説によって構築されている体系です。いたずらにがんをおそれるのではなく、科学的にがんを認識することが大切です。そして結局は、各自の選択の問題になります。


▼ 注1:引用文献
『Newton 2017年 2 月号』ニュートンプレス、 2016年12月26日
「科学的に有効ながん検診とは」(134-141ページ)

▼ 注2
国立がん研究センターのがん情報サービスによる

▼ 追記
今回の『Newton』の記事をよんでいておもいだした話があります。

がんと診断された年輩の人が、「人生はこれでおわりだ」だとおもい、一念発起して車の免許を取得し(免許はもっていませんでした)、自分で運転して、日本列島一周旅行にでかけました。子供たちは最初は反対しましたが「これが最後だ」とおもって許可し、あたたかく見送りました。するとどうでしょう。1年ぐらいしてかえってきたら、がんはすっかりなくなっていたのです。完治してしまいました。

こんな話もありました。

がんではないですが結核の人がいました。その人は、ゴリラの調査・研究のためにアフリカのジャングルに行きたいとおもっていました。医者はもちろん「ドクターストップ」、「そんなところに行ったら死んでしまうぞ」。しかしその人は「死んでもいいんだ」とおもってジャングルに行きました。アフリカのジャングルのなかをあるきまわって、「毎日がもう、たのしくてたのしくて」。するとどうでしょう。結核は完治してしまいました。

このように、病気と医学と心の問題はたいへん奥深い内容をもっています。