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イイギリ(平行法で立体視ができます)

ステレオ写真をつかった立体視の訓練をしていると、普通にものを見るときの見る力もパワーアップすることができます。

人間がものを見るときには、左右の2つの目が光をとらえる場面と、脳が、視差を検出・調整して3D像(立体画像)をつくる場面とがあります。この仕組みは、普通にものを見るときも、ステレオ写真をつかって立体視をするときもまったくおなじです。

したがってステレオ写真をつかって立体視の訓練をしていると、普通にものを見るときの見る力もパワーアップすることができます。見る力は、情報を内面にインプットするためにとても重要です。

写真はいずれも平行法で立体視ができます。国立科学博物館付属 自然教育園で撮影しました(注1)。
立体視のやり方 - ステレオグラムとステレオ写真 - >>



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イイギリ(ヤナギ科)
ブドウの房のようなあざやかな赤い実が木の枝からたくさんたれています。雌雄異株ですので雌株にしか実はなりません。実は、落葉後もながくのこり、ヒヨドリなどに食べられてとおくへはこばれます。花は5月頃さきます。



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ヤツデ(ウコギ科)
日本原産の落葉低木です。東北地方南部から南西諸島にかけて自生します。球形の白い花序を茎の頂に円錐状につけています。この時期に開花する数少ない樹木です。円錐状の頂部から開花します。手のひら状の大きな葉も目立ちます。7~9裂する葉を手に見立ててヤツデと命名されました。



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ムサシアブミ(サトイモ科)
サトイモ科テンナンショウ属の多年草です。写真のような、グロテスクで大きな赤い実をつけます。花は4月から5月にかけて咲きます。



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マユミ(ニシキギ科)
ニシキギ科マユミ属の落葉低木です。ピンク色の熟した実の様子の方が目立ちます。名前の由来は、「真弓」と書き、この木材で弓をつくったことから、あるいは「繭実」説もあり、枝から花柄で実がぶらさがり、カイコの繭を糸でぶらさげたのに似るのでつけられたともいわれます。



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カラスウリ(ウリ科)
カラスウリはウリ科カラスウリ属のツル性の多年草です。雌雄異株で、雌株に実がつきます。実は、長さ5~7㎝のラグビーボール形で、はじめは縞模様の緑色ですが、やがて赤くなり目立つようになります。ヒヨドリなどが食べにやってきます。



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ヤブラン(ユリ科)
ヤブランはユリ科ヤブラン属の多年草です。黒く熟した実のように見えるものは種子で、早期に果皮がはがれ落ちてしまうので種子だけが成熟します。種子ははじめは緑色、のちに黒色になります。花は薄紫色で、7月末から10月中頃まで見られます。名前の由来は、ランの仲間に葉が似ているためです。



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ガマズミ(スイカズラ科)
ガマズミはスイカズラ科ガマズミ属の落葉低木です。5月の中旬から下旬にかけて白い花をさかせ、その実が赤く熟しました。実は鳥の餌となり、鳥により各所に種が散布されます。「ガマ」の由来は不明ですが、「ズミ」はこの実が酸っぱいことから酸実(ずみ)とよばれました。



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センリョウ(センリョウ科)
センリョウ(千両)はセンリョウ科センリョウ属の常緑小低木です。本州中部以西から東アジアの常緑林内の半日陰の場所に自生します。うつくしい赤い実を葉の上につけ、マンリョウ(万両)、カラタチバナ(別名を百両)、ヤブコウジ(別名を十両)とともに縁起物として正月飾りにつかわれます。



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マンリョウ(ヤブコウジ科)
マンリョウ(万両)はヤブコウジ科ヤブコウジ属の常緑小低木です。うつくしい赤いをつけます。センリョウは葉の上に実をつけますが、マンリョウは葉の下に実をつけます。



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カラタチバナ(サクラソウ科)
サクラソウ科ヤブコウジ属の常緑小低木です。別名を百両といいます。


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自然教育園も晩秋をむかえました。さまざまな樹木が実をつけ種をおとします。じっくり実をみていると、生命力が実にあつまってきているような感じがします。晩秋の樹木には、生命力が実や種にあつまるような独特の印象があります。植物園のなかをあるいて植物の生命力を感じとれればわたしたちも自然に元気になれます。


▼ 注1
国立科学博物館附属 自然教育園
※ 撮影日:2016年11月30日

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