わたしたちの体は細胞分裂によってなりたっています。細胞分裂は生命の根幹となる現象です。

グラフィックサイエンスマガジン『Newton 2017.1号』から「シリーズ:細胞分裂のふしぎ」がはじまりました。第1回は「細胞はいかにして二つに分裂するのか」と題して、細胞をちぎる不思議なリング「収縮環」について解説しています。




私たちは、たった一つの受精卵という細胞からはじまり、母親のお腹の中で細胞分裂をくりかえして、生まれてきました。生まれてからも、私たちの体はたえず細胞が分裂することによって生みだされています。


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わたしたちの体では、1秒間に数百万個の細胞が生みだされているといわれています。細胞は、周囲の状況を検知して必要なときに分裂のサイクルにはいります。この分裂のサイクルを「細胞周期」とよびます。その一方で死んでいく細胞もあります。細胞はいれかわっていきます。


ヒトのような動物の細胞分裂を観察していると、最後に深いくびれがあらわれます。(中略)くびれを細胞の中から生みだして細胞を "ちぎる" 装置は「収縮環」とよばれています。

収縮環の正体は、主に「アクチン」と「ミオシン」という2種類の繊維(フィラメント)がたくさん集まったものです。 


収縮環がくびれを生みだして細胞をちぎるということですが、外から力をくわえていないのに、ひとりでに(自動的に)ちぎれるというのはきわめて不思議です。

細胞分裂は生命の根幹といえる根本的な現象です。がんなどの病気の発生や幹細胞(注)のしくみ、生命の進化などをふくめて、生命について認識をふかめるためには細胞分裂について理解しなければなりません。


▼ 引用文献
『Newton』2017年1月号、ニュートンプレス、2017年1月7日 

▼ 注
幹細胞とは、特定の機能をもつ細胞に分化する能力をたもちながら、絶えず自己増殖を続ける細胞のことです。造血や表皮組織の再生などに関与します。