海底には、海洋資源がねむっていることがあきらかになってきました。

グラフィックサイエンスマガジン『Newton 2017.1号』の「シリーズ:海のすべて」第3回は「期待高まる海洋資源」と題して海底と海洋資源について解説しています。




石油や天然ガスは、比較的安価に安定して供給されるエネルギー源、あるいは工業製品の原材料として、私たちの文明社会を支えています。(中略)

現在、石油の生産量のうち、およそ3分の1は海底下から掘り出されたものだといいます。ただしこのうちの多くは浅い海のものです。


石油や天然ガスは、海の生物(植物性・動物性のプランクトンなど)の死骸が海底にたまって埋没して変質してできたものです。したがって石油や天然ガスが海底下にあることは不思議なことではなく、陸地や浅海の油田が枯渇しつつある現在、海底下が注目されているのです。


また日本近海の海底下には、さまざまな鉱物資源やエネルギー資源が存在することがわかっています。
  • 「燃える氷」といわれるメタンハイドレート
  • マンガンクラスト、マンガンノジュール、レアアース泥(でい)
  • 海底熱水鉱床(各種金属が濃集している)

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メタンハイドレートは、水深が 500m よりもふかい場所の海底下に存在します。マンガンクラストは鉄とマンガンの酸化物を主成分とし、海山などの頂上から斜面をおおっていることが多いです。マンガンノジュール(マンガン団塊)は平坦な海底にころがっていることがあります。レアアース泥は、ハイテク産業に不可欠なレアアース(希土類元素)を多くふくんだ泥であり、海底下数m〜数十mのふかさに堆積している場合があります。海底熱水鉱床は、海底火山が活発に活動する地域で発達した有用金属が濃集したところです。しかし、これらの海底資源を妥当なコストで回収する技術はまだ開発されていません。

海底は、探査がむずかしいことから陸上にくらべてわからないことが今でもとても多いですが、すこしずつ実態が解明されつつあります。

海は、地球表層のおよそ7割を占め、地球を理解するうえで欠かせないフィールドであり、海底や深海は、地球上にのこされた最後のフロンティアです。今後とも注目していきたいとおもいます。


▼ 引用文献
『Newton』2017年1月号、ニュートンプレス、2017年1月7日

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