図1 水族館をたのしむ3段階
水族館などをたのしむときには、〈1.概観する→2.観察する→3.まとめる〉という3段階をふむとよいです。
大阪市港区天保山にある海遊館(注1)はとてもよくできた水族館です。
わたしは昨年、大阪に出張したついでにはじめて行きました。このときはウェブサイトをまずよく見て、そして館内マップを片手に約2時間で全体を概観しました。そのご帰宅してから書いた(アウトプットした)記事が下記です。
水族館に行って異空間を体験して意識を刺激する - 海遊館 -
はじめて行ったときに「あっ、これはつかえる」とおもいました。同時に、日をあらためてまた来る決心をしました。
今年になってからふたたびおとずれ、今度は、個々の生き物をじっくり観察することにしました。観察・同定・写真撮影をひたすらくりかえしました。のべ約15時間かかりました。そのご帰宅してから書いた(アウトプットした)記事が下記です。
情報を眼でうけとり判断する - 海遊館(2)「アリューシャン列島」-
立体視をして遠近の両方をみる - 海遊館(3)「モンタレー湾」-
周辺視野をつかって全体的にとらえる - 海遊館(4)「パナマ湾」-
立体視をしながら知識もふやす - 海遊館(5)「エクアドル熱帯雨林」-
立体視をしながら眼球の筋肉をバランスよくつかう - 海遊館(6)「南極大陸」-
ひろい視野で立体視をする - 海遊館(7)「タスマン海」-
3次元空間で環境をとらえる - 海遊館(8)「グレート・バリア・リーフ」-
立体視をして意識の場を拡大・拡充する - 海遊館(10)「瀬戸内海」-
海の生物の多様性を知り世界をひろげる - 海遊館(11)「特設水槽」-
立体視をして3次元空間を再現する - 海遊館(12)チリの岩礁地帯 -
さまざまな角度から見る - 海遊館(13)「クック海峡」-
深層の世界を知る - 海遊館(14)「日本海溝」-
平行法と交差法を交互におこなう - 海遊館「太平洋」ジンベイザメ -
太平洋の多様性をみる - 海遊館「太平洋」-
じっくり観察して同定する - 海遊館「太平洋」-
見慣れぬ生き物たちに出会って感受性をみがく - 海遊館「太平洋」-
そして上記をふまえてまとめの記事を書きました(アウトプットしました)。
太平洋の世界を心の中につくる - 海遊館(まとめ1)-
このように、よくできた水族館をたのしむときには、〈1.概観する→2.観察する→3.まとめる〉という3段階をふむとよいです(図1)。
第1段階目では、水槽の配置や建物の構造など全体的なことを認知する(まるごと大きく内面にインプットする)ことが主眼になります。概観は大観といってもよいです。ポイントは時間をあまりかけないことです。短時間で一気に見た方が全体像がよくわかります。時間をかければかけるほど細部が見えてきて、それは観察になってきます。
概観あるいは大観というやり方は時間がなくてもできる方法であり、むしろ、いそがしくて時間がないときほど概観や大観ができるチャンスです。
つぎの第2段階目では、それぞれの水槽の中の個々の魚を観察し識別し撮影していきます。これにはかなりの時間がかかりますが、水族館や魚類がすきだったらやるべきでしょう。
ここで水槽は、水と魚の入れ物、場であるのに対して、さまざまな魚たちはそのなかにいる要素ととらえることができます。
水槽の認識は場の認識、魚の認識は要素の認識であり、全体として、ひとつひとつの場の中でさまざまな要素が並列的に運動している姿が見えてきます。
そして第3段階目では全体をまとめてアウトプットします。まとめるとは情報を要約し統合することです。あれもこれも欲張って書くよりも、本質的なこと(エッセンス)をピックアップして書いた方がよいでしょう。不完全さにたえ7割程度のできでよしとします。
このような3段階は、大局観から小局観へ、そして本質にせまる方法であるということもできます(図2)。
このようにすれば、水槽と魚たちの両者をとらえることができます。多くの人々は水族館に行くと魚たちに注目して水槽の認識がおろそかになっているようです。水槽と魚たち、場と要素の両方をしっかりとらえた方がよいでしょう(注2)。このようなやり方が生態系や生物多様性の理解、さらに自然環境の保全につながっていくのだとおもいます。
今回提唱した方法は、動物園でも植物園でも博物館でも、あるいは旅行先でもつかうことができます。
『海遊館ガイドブック』(第3版)海遊館発行、2015年4月1日
▼ 注2
要素に注目すると知識はたしかに増えます。しかしアイデアや発想などは要素よりも場をとらえることによってむしろえられることが多いです。
わたしは昨年、大阪に出張したついでにはじめて行きました。このときはウェブサイトをまずよく見て、そして館内マップを片手に約2時間で全体を概観しました。そのご帰宅してから書いた(アウトプットした)記事が下記です。
水族館に行って異空間を体験して意識を刺激する - 海遊館 -
はじめて行ったときに「あっ、これはつかえる」とおもいました。同時に、日をあらためてまた来る決心をしました。
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今年になってからふたたびおとずれ、今度は、個々の生き物をじっくり観察することにしました。観察・同定・写真撮影をひたすらくりかえしました。のべ約15時間かかりました。そのご帰宅してから書いた(アウトプットした)記事が下記です。
情報を眼でうけとり判断する - 海遊館(2)「アリューシャン列島」-
立体視をして遠近の両方をみる - 海遊館(3)「モンタレー湾」-
周辺視野をつかって全体的にとらえる - 海遊館(4)「パナマ湾」-
立体視をしながら知識もふやす - 海遊館(5)「エクアドル熱帯雨林」-
立体視をしながら眼球の筋肉をバランスよくつかう - 海遊館(6)「南極大陸」-
ひろい視野で立体視をする - 海遊館(7)「タスマン海」-
3次元空間で環境をとらえる - 海遊館(8)「グレート・バリア・リーフ」-
立体視をして意識の場を拡大・拡充する - 海遊館(10)「瀬戸内海」-
海の生物の多様性を知り世界をひろげる - 海遊館(11)「特設水槽」-
立体視をして3次元空間を再現する - 海遊館(12)チリの岩礁地帯 -
さまざまな角度から見る - 海遊館(13)「クック海峡」-
深層の世界を知る - 海遊館(14)「日本海溝」-
平行法と交差法を交互におこなう - 海遊館「太平洋」ジンベイザメ -
太平洋の多様性をみる - 海遊館「太平洋」-
じっくり観察して同定する - 海遊館「太平洋」-
見慣れぬ生き物たちに出会って感受性をみがく - 海遊館「太平洋」-
*
そして上記をふまえてまとめの記事を書きました(アウトプットしました)。
太平洋の世界を心の中につくる - 海遊館(まとめ1)-
*
このように、よくできた水族館をたのしむときには、〈1.概観する→2.観察する→3.まとめる〉という3段階をふむとよいです(図1)。
第1段階目では、水槽の配置や建物の構造など全体的なことを認知する(まるごと大きく内面にインプットする)ことが主眼になります。概観は大観といってもよいです。ポイントは時間をあまりかけないことです。短時間で一気に見た方が全体像がよくわかります。時間をかければかけるほど細部が見えてきて、それは観察になってきます。
概観あるいは大観というやり方は時間がなくてもできる方法であり、むしろ、いそがしくて時間がないときほど概観や大観ができるチャンスです。
つぎの第2段階目では、それぞれの水槽の中の個々の魚を観察し識別し撮影していきます。これにはかなりの時間がかかりますが、水族館や魚類がすきだったらやるべきでしょう。
ここで水槽は、水と魚の入れ物、場であるのに対して、さまざまな魚たちはそのなかにいる要素ととらえることができます。
- 水槽:場
- 魚:要素
水槽の認識は場の認識、魚の認識は要素の認識であり、全体として、ひとつひとつの場の中でさまざまな要素が並列的に運動している姿が見えてきます。
そして第3段階目では全体をまとめてアウトプットします。まとめるとは情報を要約し統合することです。あれもこれも欲張って書くよりも、本質的なこと(エッセンス)をピックアップして書いた方がよいでしょう。不完全さにたえ7割程度のできでよしとします。
*
このような3段階は、大局観から小局観へ、そして本質にせまる方法であるということもできます(図2)。
図2 本質にせまる3段階
このようにすれば、水槽と魚たちの両者をとらえることができます。多くの人々は水族館に行くと魚たちに注目して水槽の認識がおろそかになっているようです。水槽と魚たち、場と要素の両方をしっかりとらえた方がよいでしょう(注2)。このようなやり方が生態系や生物多様性の理解、さらに自然環境の保全につながっていくのだとおもいます。
今回提唱した方法は、動物園でも植物園でも博物館でも、あるいは旅行先でもつかうことができます。
『海遊館ガイドブック』(第3版)海遊館発行、2015年4月1日
▼ 注2
要素に注目すると知識はたしかに増えます。しかしアイデアや発想などは要素よりも場をとらえることによってむしろえられることが多いです。