何のために生きるのかではない。生きていることが修行なのです。
NHK・Eテレの「100分 de 名著」で今月は、道元の『正法眼蔵』をとりあげています。道元(1200~1253)は、日本に禅の思想を確立した一人といわれる鎌倉時代初期の禅僧であり、曹洞宗の宗祖です。
今回は、道元の『正法眼蔵』を一般的な禅の書物としてではなく、道元の哲学的思索の跡として読むという企画です。指南役は、仏教思想家のひろさちやさんです。
100分 de 名著 道元『正法眼蔵』 >>
最初のキーワードは「身心脱落」です。
多くの現代人がかかえる葛藤のほとんどは、他人をたえず気にしていることに起因するのではないでしょうか。他人の目、他人からの評価、嫌われたくない・・・。いずれもあなたがおもう他人、あなたの心のなかにいる他人です。他人がどうかではなくて、自分は自分になりきればよい。あなたはあなたでしか生きられないとおしえています。
また時間についてこんな風に説明しています。
わたしたちは現在を生きることしかできません。過去を生きることも未来を生きることもできません。
過去とは、実は、記憶を想起していることであって、その想起はいま現在していることであり、いま現在のできごとです。また未来とは、実は、想像することであって、その想像はいま現在していることであり、いま現在のできごとです。
ひろさちやさんは釈迦のつぎの言葉も引用しています。
そして、すべての行為が修業であることについて解説しています。
つまり人生の目的を達成するために、その手段を実行するという生き方ではなく、いま為すべきことをしっかりとせよ、いまを生きよとおしえています。わたしたちは現在を生きることしかできないのですから。
現代人は、目的をもって生きることを小さいときにすりこまれ、きびしい競争社会のなかで、気がついたら勉強や仕事におわれて身も心もつかれはて、不安と迷いのなかで生き方がみつかりません。人生に目的は本当にあるのでしょうか?
ひろさちやさんの解説はとてもわかりやすく、今回の番組とテキストは『正法眼蔵』の見事な入門編になっています。ストレスから解放され、生き方をかえるヒントがえられるかもしれません。
▼ 文献
NHK 100分 de 名著・道元『正法眼蔵』NHK出版、2016年10月24日
▼ 参考関連記事
決めるのは、あなたです - アドラー『人生の意味の心理学』-
シンボル化して、過去に執着しない
▼ 参考資料
道元著(ひろさちや編訳)[新訳]『正法眼蔵』(迷いのなかに悟りがあり、悟りのなかに迷いがある)PHP研究所、2013年6月20日
ひろさちや著『終活なんておやめなさい』青春出版社、2014年9月16日
ピーター=ウィアー監督『いまを生きる』(DVD)2006年1月25日発売
今回は、道元の『正法眼蔵』を一般的な禅の書物としてではなく、道元の哲学的思索の跡として読むという企画です。指南役は、仏教思想家のひろさちやさんです。
100分 de 名著 道元『正法眼蔵』 >>
最初のキーワードは「身心脱落」です。
「身心脱落」とは、どういうことでしょうか。これは、文字どおりの意味でいえば、身も心もすべて脱落させるということ。その意味するところは、「あらゆる自我意識を捨ててしまうこと」だと考えればよいでしょう。(中略)
道元は身心脱落についてこんなことも言っています。身心脱落においては、「自己」を脱落させると同時に「他己」を脱落させることも必要だと。(中略)わたしたちは、自分の身心だけでなく、自分のなかにある他人というものも脱落させないといけないというのです。
多くの現代人がかかえる葛藤のほとんどは、他人をたえず気にしていることに起因するのではないでしょうか。他人の目、他人からの評価、嫌われたくない・・・。いずれもあなたがおもう他人、あなたの心のなかにいる他人です。他人がどうかではなくて、自分は自分になりきればよい。あなたはあなたでしか生きられないとおしえています。
*
また時間についてこんな風に説明しています。
道元は、時間というものは「現在」という意味なのだと言っているのです。わたしたちはたいてい、時間というものは、「過去→現在→未来」へと流れていくものだと考えています。しかし道元は、そうではない、「現在・現在・現在……」なのだと言っているのです。(中略)ことごとくすべての存在が、「いま現在」なのです。
わたしたちは現在を生きることしかできません。過去を生きることも未来を生きることもできません。
過去とは、実は、記憶を想起していることであって、その想起はいま現在していることであり、いま現在のできごとです。また未来とは、実は、想像することであって、その想像はいま現在していることであり、いま現在のできごとです。
ひろさちやさんは釈迦のつぎの言葉も引用しています。
過去を追うな、未来を求めるな。過去はすでに過ぎ去ったのだ。未来はまだやって来ない。あなた方は、いま為すべきことをしっかりとせよ。
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そして、すべての行為が修業であることについて解説しています。
悟りが目的で修行が手段なのではなく、修行の中に悟りを見、悟りの中に修行がなければならない。それが道元の考える禅なのです。(中略)
食事をつくることも食べることも、すべてが修行なのです。何のために生きるのかではない。生きていることが修行なのです。
つまり人生の目的を達成するために、その手段を実行するという生き方ではなく、いま為すべきことをしっかりとせよ、いまを生きよとおしえています。わたしたちは現在を生きることしかできないのですから。
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現代人は、目的をもって生きることを小さいときにすりこまれ、きびしい競争社会のなかで、気がついたら勉強や仕事におわれて身も心もつかれはて、不安と迷いのなかで生き方がみつかりません。人生に目的は本当にあるのでしょうか?
ひろさちやさんの解説はとてもわかりやすく、今回の番組とテキストは『正法眼蔵』の見事な入門編になっています。ストレスから解放され、生き方をかえるヒントがえられるかもしれません。
▼ 文献
NHK 100分 de 名著・道元『正法眼蔵』NHK出版、2016年10月24日
▼ 参考関連記事
決めるのは、あなたです - アドラー『人生の意味の心理学』-
シンボル化して、過去に執着しない
▼ 参考資料
道元著(ひろさちや編訳)[新訳]『正法眼蔵』(迷いのなかに悟りがあり、悟りのなかに迷いがある)PHP研究所、2013年6月20日
ひろさちや著『終活なんておやめなさい』青春出版社、2014年9月16日
ピーター=ウィアー監督『いまを生きる』(DVD)2006年1月25日発売