漢字は、イメージをシンボル化することによってつくりだされました。イメージしてシンボル化するやり方は、〈プロセシング→アウトプット〉の方法としてつかえます。

東京富士美術館で、特別展「漢字三千年 - 漢字の歴史と美 -」が開催されています(注1)。漢字の歴史と美の変遷をさぐるとともに、漢字にまつわるエピソードを紹介、今までに類のない漢字ワールドを展観するという企画です。

漢字の歴史は「甲骨文字」からはじまりました。漢字は、イメージをシンボル化することによってつくりだされました。

一方でわたしたちは、漢字を見る(読む)ことによってイメージをおもいうかべることができます。 イメージをおもいうかべること(心象法)は、人がおこなる情報処理のなかのプロセシングの基本的な方法です。イメージ能力が高まるとプロセシング能力が高まります。

そして漢字を書きだすということはアウトプットです。たとえば見出しやキャッチフレーズをつくるときにどのような漢字をつかったらよいか。イメージしてシンボル化するようにします。

さらに複数の漢字をくみあわせて情報を統合し、より高度な概念や思想などをアウトプットすることもできます。

こうして漢字をつかいこなすことによって、わたしたちは時空をこえてメッセージを伝達することができます。

漢字文化は情報伝達にとどまらず、芸術の域にまで達しています。漢字は単なる符合ではなく、作品としての価値も生みだしました。漢字三千年の歴史を通して、文化がアート化していく実例もみることができます。


▼ 注1
特別展「漢字三千年 - 漢字の歴史と美 -」
会場:東京富士美術館
会期:2016年10月20日~12月4日
※ 会場内は撮影が許可されていました。
※ 東京展終了後、京都、新潟、宮城、群馬に巡回します。

▼ 参考文献
『漢字三千年 -漢字の歴史と美-』(図録)、黄山美術社発行、2016年

▼ 記事リンク
漢字をみてイメージする - 特別展「漢字三千年 漢字の歴史と美」(1)-
イメージしてシンボル化する - 特別展「漢字三千年 漢字の歴史と美」(2)-
漢字をくみあわせて情報を統合する - 特別展「漢字三千年 漢字の歴史と美」(3)-
時空をこえてメッセージをつたえる - 特別展「漢字三千年 漢字の歴史と美」(4)-
作品をアウトプットする - 特別展「漢字三千年 漢字の歴史と美」(5)-
イメージをふくらませる - 特別展「漢字三千年 漢字の歴史と美」(6)-

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