161112 イメージング
図1 シンボル化してアウトプットする

見出しやキャッチフレーズをつくるときにどのような漢字をつかったらよいか。イメージをしてシンボル化するという方法をつかうとよいです。

東京富士美術館で、特別展「漢字三千年 - 漢字の歴史と美 -」が開催されています(注1)。第一部では、漢字三千年の歴史をふりかえることがきます。

写真は会場で撮影しました(撮影が許可されていました)。いずれも平行法で立体視ができます。
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「壬申有鹿」(じんしんゆうろく)亀腹卜辞(きふくぼくじ)
(甲骨文字のきざまれた亀の甲羅)

およそ3000年前、中国の殷王朝では、亀の甲羅や牛の肩の骨に文字をほりこみ、そこに小さな穴をつくり、熱をくわえてひび割れをみて占いをしました。その文字を「甲骨文字」(こうこつもじ)といいます。甲骨文字は中国で一番ふるい文字であり、漢字のはじまりとなった文字です。



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「歳于中丁」(さいうちゅうてい)牛胛骨卜辞(ぎゅうこうこつぼくじ)
(甲骨文字の刻まれた牛骨)



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「応姚」(おうよう)銅盤
「盤」は水をうける皿のことです。「応姚 叔誥父(しゅくこうふ)宝盤を作る、それ万年、子子孫孫、永く宝として用いて享けよ」という碑文が左行から右行にすすむ方向で書かれています。西周時代のものです。



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車工鼓(しゃこうこ)(最古の石刻「石鼓」)(複製)
王の狩猟を詠んだ詩が表面にきざまれた石です。形が太鼓に似ていることから「石鼓」(せっこ)とよばれます。春秋時代あるいは戦国時代の秦でつくられたものとかんがえられています(紀元前374年のものとする説が有力です)。




中国人は、イメージをシンボル化して数々の漢字をつくりだしました。この過程を、人がおこなう情報処理の観点からとらえなおすと、対象をまず見て(情報インプットして)、それをイメージにして(プロセシング)、そしてイメージをシンボル化して書きだした(アウトプットした)ということです(図1)。シンボル化された結果が漢字としてのこったわけです。

イメージしてシンボル化して書き出すという方法は現代でもつかうことができます。たとえば見出し(タイトル)やキャッチフレーズをつくるときにどのような漢字をつかったらよいか。イメージしてシンボル化してみるとよいでしょう。

シンボル化には情報を統合する作用がそもそもあり、情報のアウトプットの本質は情報を統合することであることに気がつくことも大切でしょう。


▼ 注1
特別展「漢字三千年 - 漢字の歴史と美 -」
会場:東京富士美術館
会期:2016年10月20日~12月4日
※ 会場内は撮影が許可されていました。
※ 京都、新潟、宮城、群馬に巡回します。

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