エルニーニョ現象とラニーニャ現象により異常気象がひきおこされています。異常気象をグローバルにとらえることが重要です。

東太平洋の赤道付近で海綿の高温状態がつづく「エルニーニョ現象」は世界中に異常気象をもたらします。グラフィックサイエンスマガジン『Newton』2016.12号ではこの仕組みについて解説しています(注1)。


日本も例外でなく、2015年の年末から2016年の年始にかけては、記録的な暖冬となった。豪雪地帯として知られ、積雪のピークの2月中旬には例年積雪が2〜3メートルにもなる新潟県津南町では、2016年の2月は積雪が1メートル前後しかなかったうえ、この時期としてはめずらしい雨がふった。(中略)

また、2016年は台風1号の発生が7月3日と非常に遅く、台風の統計を取りはじめた1951年以降2番目に遅い発生となった。これもエルニーニョ現象が影響していると考えられている。

エルニーニョ現象は、赤道付近の「貿易風」という、常時、東から西へ吹く風が弱まることでおきる。反対に、貿易風が平年よりも強く吹くことが原因で、東太平洋の赤道付近の海面水温が平年よりも低い状態がつづく現象を「ラニーニャ現象」という。


一般的に日本付近では、エルニーニョ現象が発生すると夏はすずしく、冬はあたたかくなります。他方、ラニーニャ現象が発生すると冬の寒さはきびしく、夏は暑くなる傾向にあります。ペルー沖の海の異変が、とおくはなれた日本にまで影響をあたえるのです。

さらにエルニーニョ現象は、インド洋の海面水温にも影響をおよぼします。そしてインド洋の熱がはるかとおくの日本にも影響をおよぼします。

エルニーニョ現象の観測がはじまったのは1980年代と比較的最近ですが、世界各国が協力して研究は急速に近年すすんでいます。

異常気象は、グローバルな大気・海洋現象をとらえないと理解できません。異常気象は、グローバルに物事をとらえるためのきっかけになります。


▼ 注1
「エルニーニョ現象が異常気象を引きおこすしくみとは?」Newton, 2016.12号、134-139ページ、ニュートンプレス、2016年12月7日

▼ 文献
『Newton』2016年12月号、ニュートンプレス、2016年12月7日