大観するときには、大きく広く短時間で見るようにします。空間的・構造的にまずとらえて、つぎに時間的な流れも想像するとわかりやすいです。

大宇宙 - 完全保存版 -』(ニュートン別冊)は、最新の科学データをもとにして宇宙のすべてを紹介した概説書です。本書をつかえば宇宙の全体を大観することができます。特別付録として、宇宙をよりふかく理解するための「キーワード集」もついています。




宇宙の「宇」には「空間的な広がり」という意味があり、一方の「宙」には「時間的な広がり」という意味があるといわれています。つまり「宇宙」は空間と時間をあらわしています

本書は、「宇の章」と「宙の章」の2章から構成されています。「宇の章」では、太陽系から138億光年の彼方まで宇宙の空間的な広がりについて紹介しています。「宙の章」では、宇宙の誕生から現在までの歴史をふりかえり、そして未来を展望します。


宇宙の広さを実感するためには、次の「二つの見方」が役立ちます。一つ目は、「1光年」という長さの基準を頭に入れることです。1光年とは、「光が1年かけて進む距離」のことです。1光年は約9兆5000億キロメートルです。(中略)

二つ目の見方は、「対数スケール」です。(中略)対数スケールでは、1目盛り進むごとに距離は一定の倍率で掛け算されていきます。例えば1目盛り「10倍」と定めれば、1光年の1目盛り先は10光年、2目盛り先は100光年です。(中略)近くにある天体も、遠くにある天体も、一つの図の中にえがけるのが、対数スケールのいいところです。

恒星は晩年になると巨大化し、「赤色矮星」になります。太陽も例外ではありません。

太陽が巨大化をはじめると、非常に明るくなり、地球では日射量が非常に多くなります。地表の温度が上がり、海は干上がって、生命が生存していくのはきわめてむずかしい環境になるはずです。地球の事実上の死といえるでしょう。


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宇宙を見ることは大観の究極です。情報処理や問題解決をすすめるときには、まず大観し、つぎに詳細をしらべるという順序をふむとよいです。〈大局観→小局観〉ということです。

大局観のポイントは大きく広く短時間で、ということです。本書を見るときもあまり時間をかけずに短時間で最後まで一気に見てしまった方がよいです。その方が大観ができます。できれば10分〜15分以内で見おわってしまった方がよいでしょう。

それに対して小局観では、狭く深く時間をかけて、というのがポイントになります。そのためには、本当にとりくみたい課題を明確にしなければなりません。

  • 大局観:大きく広く短時間で
  • 小局観:狭く深く時間をかけて



わたしたち人間が宇宙のなかで生きているということは、空間と時間の基本的な枠組みのなかで生かされているということです。空間的にも時間的にも非常にかぎられた制約のなかでしかわたしたちは存在できません。移動範囲はかぎられ、一方で一生という制限があります(誰もがかならず死にます)。宇宙を知ることは人生観にもおおきな影響をあたえます。

宇宙などを大観するときには、空間的・構造的にまずとらえて、そして時間的な流れも想像するという順序をふむとわかりやすかもしれません。


▼ 文献
『大宇宙 —完全保存版—」(ニュートン別冊) ニュートンプレス、2015年11月10日