東京国立博物館のガイドブックです。

東京国立博物館は、上野公園内の大きな敷地内に、本館・表慶館・法隆寺宝物館・東洋館・平成館の5つの展示館が分布しています。

ガイドブックをあらかじめ見てから東京国立博物館を見学すると体験をふかめることができます。 出かける前に本書を見て、今日は、ここを見ようと決めてから出かけるとよいです。よほど時間がある人は別として、ガイドブックを見ないで大きな博物館をやみくもにあるきまわるのは効果的ではありまません。

本書の第一部では、各展示館について概説してあります。

■ 本館
2階「日本美術の流れ」(フロアーマップ:13ページ)
・第1展示室:日本美術のあけぼの(縄文・弥生・古墳)、仏教の興隆(飛鳥・奈良)
・第2展示室:国宝室
・第3展示室:仏教の美術(平安〜室町)、宮廷の美術(平安〜室町)、禅と水墨画(鎌倉〜室町)
・第4展示室:茶の美術
・第5-6展示室:武士の装い(平安〜江戸)
・第7展示室:屏風と襖絵(安土桃山・江戸)
・第8展示室:暮らしの調度(安土桃山・江戸)、書画の展開(安土桃山・江戸)
・第9展示室:能と歌舞伎
・第10展示室:浮世絵と衣装(江戸)

1階「ジャンル別展示」(フロアーマップ:25ページ)
・第11展示室:彫刻
・第12展示室:彫刻と金工
・第13展示室:陶磁、漆工、刀剣
・第14展示室:工芸
・第15展示室:民俗資料(アイヌ・琉球)
・第16展示室:歴史資料
・第17室:休憩室
・第18展示室:近代美術(絵画・彫刻)
・第19展示室:近代工芸

■ 法隆寺宝物館(フロアーマップ:45ページ)
1階
・第1展示室:灌頂幡(かんじょうばん)
・第2展示室:金銅仏・光背・押出仏
・第3展示室:伎楽面(ぎがくめん)
2階
・第4展示室:木・漆工
・第5展示室:金工
・第6展示室:絵画・書跡・染織

■ 東洋館(フロアーマップ:49ページ)
・第1展示室:中国彫刻、インド・ガンダーラ彫刻
・第2展示室:銅鼓・中国彫刻
・第3展示室:エジプト・西アジア、 東南・南アジアの美術と考古
・第4展示室:中国考古
・第5展示室:中国工芸
・第6展示室:画像石
・第7展示室:画像石
・第8展示室:中国の絵画、中国の書跡
・第9展示室:朝鮮考古
・第10展示室:西域美術

■ 平成館(フロアーマップ:58ページ)
1階:
・第1展示室:考古
・第2展示室:企画展示
2階:特別展示室


(注)展示の最新情報はウェブサイトで確認できます 東京国立博物館

博物館をつかって、記憶法やイメージ訓練(心象法)などの情報処理をすすめるには次の方法をつかうと効果的です。

1.空中写真を見る
博物館がある敷地全体を上空から撮影した全体写真をよく見て(インプットして)、建物の分布・配置をおぼえます。本書では、90-91ページに空中写真がのっています。Google Earth をつかってもよいです。

2.平面図(地図)を見る
博物館がある敷地の平面図(地図)を見て(インプットして)、建物の配置を確認します。本書ですと67ページに平面図がのっています。

3.フロアーマップを見る
博物館の建物のフロアーマップを見て(インプットして)、各展示室と各展示分野の分布・配置を確認します。本書では、 13ページ(本館2階)、 25ページ(本館1階)、 45ページ( 法隆寺宝物館)、 49ページ(東洋館)、 58ページ(平成館)にフロアーマップがのっています。

4.展示室を見る
各展示室に行って、その展示室全体の空間の様子をよく見ます(インプットします)。

5.展示物を見る
展示室で展示物を見て、その展示室内のどこに何が展示されているかを空間的にとらえて記憶します。各展示室内の位置にむすびつけてそれぞれの展示物をイメージとして記憶します。 展示物はほとんどが立体ですので、インプットされるものも立体イメージ(3Dイメージ)になります。

6.解説をおぼえる
あわせて、各展示物の解説の要点も記憶します。

7.あらたなイメージのための素材をえる
あわせて、各展示室内で、あらたなイメージをえがくために役立ちそうな素材をさがします。

8.想起する
ひととおり見終わったら、休憩室(休憩所)に行って、各フロアーマップを見なおし、各展示室の空間と各展示物をイメージとして順次想起します。

9.再確認する
よくおもいだせない場所については、もう一度そこに行って確認し、再度インプットします。


以上は、記憶法とイメージ(心象法)の訓練であり、全体写真・平面図・フロアーマップは、記憶とイメージをえがくためのベースとなっています。

ここでは、最初から理屈でとらえるのではなく、まず、イメージをインプットすることが重要です。

第1に、敷地内における各建物(各展示館)の配置(敷地内の位置)、第2に、各建物内における各展示室の配置(建物内の位置)、第3に、各展示室内における各展示物の配置(展示室内の位置)をそれぞれ空間イメージとして記憶します。そして、各展示物にむすびつけてその解説や関連情報を記憶していくわけです。

こうして次のような階層構造ができあがります。

 上 空中写真
 | 平面図(地図)
 | フロアーマップ
 | 展示室の空間イメージ
 下 展示物のイメージと解説

上部構造ほど、細部は見えませんが全体が見えます。下部構造では、全体は見えませんが細部が見えます。

たとえば、武士について理解し記憶したいとおもったら、空中写真と平面図で本館の位置を確認し、本館のフロアーマップを見て、2階第5-6展示室に行きます。展示室の空間全体を見てから、各展示物の前に行きます。展示室の空間内のどこにその展示物があるのか、場所を確認しおぼえます。そして展示物をよく見て、その解説を読みます。

さらに、その分野をふかめたいとおもったら、武士に関する適当な本を第5-6展示室にもっていき、その場で読んで、第5-6展示室にむすびつけて書名や要点を記憶します。

こうして、第5-6展示室は、武士に関する情報と記憶の倉庫になります。

そして、武士についておもいだすときは、まず、第5-6展示室の空間をおもいだせばよいことになります。空間から言語情報もひきだすことができます。

また、たとえば、「中国考古」について学習したいとおもったら、東洋館の第4展示室に行って同様なことをすればよいわけです。

このようにして、第一に、つかえる知識を体系的に増やし、第二に、あらたなイメージをえがくための素材がえられるように訓練していけば、博物館は単なる宝物の倉庫であることをこえて「情報の宝庫」としてつかえます。

しかも、机のうえで本を読んでいるのとはちがい、体をうごかしながら体験的にとりくめるので、体験情報が心のなかにファイルされ、それは一生の思い出としてのこすことができます。



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▼ 文献
新潮社編『こんなに面白い東京国立博物館』 2005年04月21日


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