気候あるいは地球環境の変動と海流の循環とは大きく関係しています。注視していかなければなりません。

グラフィックサイエンスマガジン『Newton 2016.11号』の「シリーズ:海のすべて」第2回は「気候を支配する『海流』」と題して、地球を縦横にめぐる巨大な海水循環システムについて解説しています。



表層海流も深層海流も、「物質」と「熱」を運んで循環することで、地球の環境に大きな影響をあたえています。

一般的に高緯度地域にある海水は多くの栄養分を含んでおり、海の生態系を支えています。(中略)

栄養分は豊富だが水温は低い寒流に、水温が高い暖流がぶつかると、栄養と温度の条件が両方満たされ、爆発的にプランクトンが成育するのです。(中略)日本の場合は親潮と黒潮がぶつかる三陸地方の沖合が、まさにこれに相当します。(中略)

現在の地球では、陸上や海洋の表層に温暖化の傾向があらわれています。そして近年の観測により、深海でも、水温がわずかながら上昇しつつあることが、はっきりしてきました。


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世界の海流の分布をみると、北半球では時計まわりの方向に、南半球では反時計まわりの方向にながれている海流が目立ち、大規模な水の循環システムが形成されているのがわかります。

日本付近には、世界有数の大規模な海流である「黒潮」がながれています。その流軸の流速は秒速2.5メートル(時速9キロメートル)をこえることもあります。これはジョギングに相当する速さであり、人間がおよいでさかのぼるのは不可能です。

このような大きな海水のながれは、根本的には、「貿易風」や「偏西風」といった、おおむねいつもおなじ方向にふいている風が生みだしています。

現在の地球温暖化が海流の循環にどのような影響をおよぼすのかはまだよくわかっていませんが、気候あるいは地球環境の変動と海流の循環は大きく関係しているので、今後とも注視していかなければなりません。


▼ 文献
『Newton』2016年11月号、ニュートンプレス、2016年11月7日

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