膵液は、十二指腸に膵臓から分泌されます。胃の先にある十二指腸で三大栄養素の分解が本格化します。

グラフィックサイエンスマガジン『Newton』11月号では、シリーズ「消化の旅」の第3回として「膵液の秘密」について解説しています。



いわゆる三大栄養素であるタンパク質・炭水化物・脂質は、胃の先にある十二指腸で分解が本格化します。十二指腸では、膵臓が分泌する膵液と、肝臓でつくられて胆嚢で濃縮される胆汁が流れ出てきます。膵液や胆汁を出す量やタイミングは十二指腸が感知します。


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膵液は、タンパク質の消化酵素などを5種類以上もふくむ強力な消化液です。胆汁は、脂質を分解しやすい形にする役割をはたします。

「あなたは食べたものでできている」といわれますが、体をつくる原料やエネルギー源に食べたものがそのままなるわけではなく、消化というプロセシングがあってはじめて体の原料やエネルギー源が生じるのです。




なお膵臓は、血糖値(血液中のブドウ糖の濃度)を調整するホルモンも分泌します。この分泌のはたらきが糖尿病と密接に関係します。糖尿病とは、血液中をながれているグルコース(ブドウ糖)の濃度が高くなったままになってしまう、すなわち血糖値があがったままになってしまう病気です。

糖尿病は症状がわかりにくく、知らず知らずのうちに進行してしまいます。また数々の合併症もひきおこします。肥満の中高年がなるものという印象がつよいですが、わかい人でも発症することがあります。その治療は、おもに食事療法・運動療法で、それでも不十分なら薬物療法にすすみます。肥満の人の胃をぬいちじめる手術をすることもあります。

糖尿病にならないために生活習慣に気をつけなければなりません。


▼ 文献
『Newton』2016年11月号、ニュートンプレス、2016年11月7日

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