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カルカドドン・メガロドン(交差法で立体視ができます)
立体視のやり方 - ステレオグラムとステレオ写真 - >>)

海の食物連鎖について認識をふかめることは、海の生態系を保全することにつながります。

東京・上野の国立科学博物館で特別展「海のハンター展」が開催されています(注1)。海の動物たちが生きるために必要な「捕食」に焦点をあて、復元模型・剥製・骨格標本・液浸標本・化石など162点の標本を展示し解説しています。捕食とは、生物がほかの生物をつかまえて食べることです。


160923 海のハンター展
会場マップ



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ホホジロザメ(液浸標本)(交差法で立体視ができます)
ホホジロザメは最強の肉食性魚類であり、その体長は6mに達します。かむ力は1.8トンであり現海洋生物のなかで最大です。歯には鋸歯(きょし)とよばれるギザギザがならんでおり、獲物を切りさくのに役立っています。魚類としてはめずらしく、海水温よりたかく体温をたもつことができるので、ひくい水温でもたかい運動能力を発揮することができます。



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シロシュモクザメ(交差法で立体視ができます)
シロシュモクザメは熱帯から温帯に出現し、沿岸から大陸棚上の沖合に生息します。成長すると4mに達します。魚類・頭足類・甲殻類などを補食し、ときに共食いもします。アカエイ類をこのんで食べ、ほかのサメをおそって食べることもあります。人間に危害をくわえる可能性があります




サメは食物連鎖の頂点にいます。一方、ピラミッドの底辺にはプランクトンや海棲無脊椎動物がいます。食物連鎖とは、捕食(食べる)・被食(食べられる)というある生物群集内の関係です。海の脊椎動物は大多数が肉食性です。


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浅海での食物連鎖(図録より引用)


今回の特別展は、この食物連鎖の観点から海の世界をとらえなおすとてもよい機会になっています。

ところで会場の第4展示室にいくと「ヒトも海のハンター」がテーマになっています。食物連鎖の頂点にサメがいると書きましたが、実は、そのうえにヒトがいるのです。現代のヒトは海の生物を乱獲しています。また環境破壊をひきおこしし、生物の生息地を減少させています。これによって食物連鎖がくずれ、ひいては生態系がこわれます。とくに大型種の減少は、食物連鎖と生態系に大きな悪影響をあたえるといわれています。

近年、ヒトによる生物大量絶滅の時代がはじまっていると指摘する学者もいます。食物連鎖について認識をふかめ、生態系を保全することは重要なことです。


▼ 注1
海のハンター展(特設サイト)
海のハンター展(国立科学博物館)
会場:国立科学博物館
会期:2016年7月8日〜10月2日

▼参考文献
国立科学博物館・篠原現人監修『海のハンター展 - 恵み豊かな地球の未来 -』(特別展図録)日本経済新聞社・BSジャパン発行、2016年