
図1 作文してアウトプットする
日本語の作文の基本原則は「修飾の順序」と「読点」の原則です。この原則をつかうだけでも日本語が格段にわかりやすくなります。
人を、情報処理(インプット→プロセシング→アウトプット)をする存在としてとらえたとき、日本人であれば、日本語で作文をしてアウトプットする人が多いとおもいます。このときに役立つのが、本多勝一著『日本語の作文技術』(朝日文庫)で提唱された作文の原則です。
日本語の作文の原則のなかでとくに重要な基本原則は「修飾の順序」と「読点」です。
これらの基本原則にしたがって下記の例文をなおしてみたいとおもいます。
「イスラエル軍と」どことがどうしたのかわかりにくいです。「修飾の順序」の原則にしたがってなおすとつぎのようになります。
「イスラエル軍」を強調したければ、これを前にもってきます。すると「逆順」の原則にしたがってつぎのようになります。
「新たな安全保障法制をめぐる自民」で文が切られてしまいわかりにくいです。ここにテンをうつのは「読点」の原則に反します。ナカテンのほうがよいです。また「修飾の順序」の原則にしたがって「27日」をうしろにもっていきます。読みやすくするために「日」のあとをひらがなにします。
「27日」を強調したいならばこれを前にもってきます。すると「逆順」の原則によりつぎのようになります。
何だかヘンな文です。「彼は一週間以内に動作する」と読んでしまいます。「修飾の順序」にしたがってなおすとつぎのようになります。
「彼は」を強調したければつぎのようになります。
時間の流れを強調したいのであればつぎのようになります。
おそらく、この最後の修正例文の内容をこの筆者はつたえたかったのだとおもいます。
日本語をつかってアウトプットするときにこれらの基本原則はとても役立ちます。すぐに実践できるので積極的につかってみるとよいでしょう。
▼ 文献
本多勝一著『【新版】日本語の作文技術』(朝日文庫)朝日新聞出版、2015年12月7日
本多勝一著『実戦・日本語の作文技術』(朝日文庫)朝日新聞出版、1994年9月
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本多勝一著『日本語の作文技術』をつかいこなす - まとめ -
日本語の作文の原則のなかでとくに重要な基本原則は「修飾の順序」と「読点」です。
修飾の順序
- 長い修飾語ほど先に
読点
- 長い修飾語が二つ以上あるときその境界にうつ(長い修飾語)
- 語順が原則の逆になったときにうつ(逆順)
これらの基本原則にしたがって下記の例文をなおしてみたいとおもいます。
例文1)
イスラエル軍とパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスが停戦に合意してから半年が経った。(朝日新聞、2015.2.28)
「イスラエル軍と」どことがどうしたのかわかりにくいです。「修飾の順序」の原則にしたがってなおすとつぎのようになります。
- パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスとイスラエル軍が停戦に合意してから半年が経った。
「イスラエル軍」を強調したければ、これを前にもってきます。すると「逆順」の原則にしたがってつぎのようになります。
- イスラエル軍と、パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスが停戦に合意してから半年が経った。
*
例文2)
新たな安全保障法制をめぐる自民、公明両党の与党協議が27日、国会内で開かれた。(朝日新聞、2015.2.28)
「新たな安全保障法制をめぐる自民」で文が切られてしまいわかりにくいです。ここにテンをうつのは「読点」の原則に反します。ナカテンのほうがよいです。また「修飾の順序」の原則にしたがって「27日」をうしろにもっていきます。読みやすくするために「日」のあとをひらがなにします。
- 新たな安全保障法制をめぐる自民・公明両党の与党協議が国会内で27日ひらかれた。
「27日」を強調したいならばこれを前にもってきます。すると「逆順」の原則によりつぎのようになります。
- 27日、新たな安全保障法制をめぐる自民・公明両党の与党協議が国会内で開かれた。
- 新たな安全保障法制をめぐる自民・公明両党の与党協議が27日、国会内で開かれた。
*
例文3)
彼は一週間以内に動作する地図アプリを作成し、次の週には Macworld Expo でそのアプリが公開されていました。(gigazine.net、2014.4.25)
何だかヘンな文です。「彼は一週間以内に動作する」と読んでしまいます。「修飾の順序」にしたがってなおすとつぎのようになります。
- 動作する地図アプリを一週間以内に彼は作成し、Macworld Expo でそのアプリが次の週には公開されていました。
「彼は」を強調したければつぎのようになります。
- 彼は、動作する地図アプリを一週間以内に作成し、Macworld Expo でそのアプリが次の週には公開されていました。
時間の流れを強調したいのであればつぎのようになります。
- 一週間以内に、動作する地図アプリを彼は作成し、次の週には、Macworld Expo でそのアプリが公開されていました。
おそらく、この最後の修正例文の内容をこの筆者はつたえたかったのだとおもいます。
*
日本語をつかってアウトプットするときにこれらの基本原則はとても役立ちます。すぐに実践できるので積極的につかってみるとよいでしょう。
▼ 文献
本多勝一著『【新版】日本語の作文技術』(朝日文庫)朝日新聞出版、2015年12月7日
本多勝一著『実戦・日本語の作文技術』(朝日文庫)朝日新聞出版、1994年9月
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