人類は、樹上から地上におりて二足歩行をするようになったため、手が自由につかえるようになり、アウトプット能力が向上しました。手をつかいこなしてアウトプットすることは重要なことです。
岡山シティミュージアム(注1)で開催されている特別展「生命大躍進」は、人類の進化についても知ることができる貴重な機会になっています。
ステレオ写真はいずれも平行法で立体視ができます。岡山シティミュージアムで撮影しました。
立体視のやり方 - ステレオグラムとステレオ写真 - >>
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人類の誕生はいまから約700万年前までさかのぼります。約700万年前に霊長類のなかから、樹上から地上におりてくらすものがあらわれました。これが人類のはじまりです。人類は、二足歩行という独特の移動様式を発達させ、やがて世界中にひろがることになります。
オロリン・トゥゲネンシスの大腿骨・上腕骨・下顎骨(中新世/600万年前)
オロリン・トゥゲネンシスは初期の人類であり、大腿骨の形から、直立二足歩行をしていたとかんがえられます。
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アウストラロピテクス・アナメンシスの上顎骨・下顎骨(鮮新世/420万年前)
アウストラロピテクス・アナメンシスは、初期人類の一種であるアウストラロピテクスのなかの一番ふるい種です。臼歯が大きくエナメル質も厚いなど、咀嚼器官が頑丈になりはじめています。
アウストラロピテクスは脳のサイズは類人猿なみでしたが、犬歯が小型化し、直立二足歩行を常態的にしていました。
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ホモ・エレクトス/ジョルジクス(更新世/175万年前)
人類はアフリカで誕生し、初期人類はアフリカで生活していましたが、その後アフリカから世界中へひろがっていきました。ホモ・エレクトス/ジョルジクスは、人類の祖先がアフリカからはじめて外へ出た時期やルートを知るうえで貴重な化石です。
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ホモ・ネアンデルターレンシス(更新世/6万年前)
いわゆる「ネアンデルタール人」の化石です。彼らは、ヨーロッパからシベリアにかけてのひろい地域にすんでいました。われわれホモ・サピエンス(ヒト/人間)とおなじ時期にも生きていましたが、やがて絶滅してしまいました。しかし彼らの DNA の一部は、われわれホモ・サピエンスにもうけつがれています。
ネアンデルタール人の復元模型
ネアンデルタール人は衣服や靴・道具などをつくって生活していました。
そしてわたしたちヒト(ホモ・サピエンス)は、約20万年前ごろにアフリカで誕生し、6万年前ごろにユーラシアへひろがっていったと想像されています。
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霊長類そして人類の進化をこのようにみてくると、進化とともに眼が発達し、脳が大きくなり、そして二足歩行ができるようになって、手が自由につかえるようになったことがわかります。
眼が発達したということは、環境からの情報のインプット能力が向上したということです。脳が大きくなったということはプロセシング能力が高まったことをしめします。そして手がつかえるようなって、物をつくる(アウトプットする)ことができるようになりました。
- 眼:インプット
- 脳:プロセシング
- 手:アウトプット
このような対応関係に気がつくことが重要であり、ここで、手が自在につかえるようになったことにとくに注目しなければなりません。手によって、アウトプット能力が飛躍的に向上したのです。
とくにヒト(ホモ・サピエンス)は、物をつくるだけでなく、絵をえがいたり、文字を書いたり、楽器を演奏したりすることもできるようになりました。進化論的にみると、アウトプットの手段として手が重要な役割をはたしていることはあきらかです。手なくして今日の文明はなりたちません。
このように手をつかいこなすことはアウトプットをいちじるしくすすめます。アウトプットを充実させたければ手をつかいこなせるようになればよいのです。手の役割を、進化論と情報処理の観点からとらえなおし、手をつかいこなして、よくできたアウトプットをしていきたいものです。
▼ 注1
岡山シティミュージアム
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