特別展「古代ギリシャ」では演劇に関する展示・解説もあります。当時の市民社会に、またその後の西洋文明に古代ギリシャの演劇は大きな影響をあたえました。

東京国立博物館・平成館で、特別展「古代ギリシャ - 時空を越えた旅 -」が開催されています(注1)。

第5展示室「クラシック時代」にいくと古代ギリシャの演劇に関する展示もあります。

「シアター」(劇場、演劇)という単語は、ギリシャ語の「テオマイ」(見る、見られる)に由来します。古代ギリシャの演劇は、当時の都市国家の民主政がなしとげたひとつの偉業であり、のちの西洋文明にはたしたもっとも大きな貢献のひとつであるといわれています。

ギリシャ各地の都市国家で125をこえる劇場が建設されたことが確認されています。当時の演劇のなかで、クラシック時代に書かれたものの一部が現代にまでつたわっており、喜劇は、時事問題や収賄事件などを題材にし、悲劇は、人間が、宿命や神々とのあいだで葛藤するさまをえがきました。内容はきわめて社会的なものであり、市民社会を成熟させていくことに大いに貢献しました。

古代ギリシャの演劇は、台詞・音楽・踊りから構成された総合芸術であり、この形式は、今日のミュージカルやオペラあるいは歌舞伎にも通じます。

上演費用をまかなったのは裕福な市民コレゴス(スポンサー)であり、劇は、専用の劇場で、太陽光のもとで夜明けから日没まで上演されました。

当時の都市国家の文化がいかに高度なものであったか。このような演劇をみるだけでも想像することができます。


▼ 注1
特別展「古代ギリシャ - 時空を越えた旅 -」 
会場:東京国立博物館・平成館
会期:2016年9月19日まで
※このあと、長崎と神戸に巡回します。