睡眠は、個人の健康を増進するだけでなく、情報処理をすすめるためのもっとも基本的な方法です。情報のインプットをしたらさっさと寝るのが一番です。

山寺亘著『仕事につかれた人の薬を飲まない快眠法』(ぱる出版)は、睡眠の重要性とその方法について医学の立場から解説しています。診断と治療の実例も掲載されていて参考になります。




「不眠不休」というやり方が勤勉さの真髄であるとかんがえられていた時代がかつてありましたが時代は変わりました。睡眠は、個人の健康を増進するだけでなく、情報処理をすすめるためのもっとも基本的な方法であることがあきらかになりました。

たとえば記憶について、著者の山寺さんはつぎのようにのべています。


明日はテストだから徹夜でがんばろう-----。そう思う学生さんがいるかもしれませんが、記憶のためにはあまりおすすめできません。なぜなら、記憶力も睡眠によってアップされるものだからです。(中略)

 「学び」の後は「眠り」。これを忘れずに。


ねむることで長期記憶が脳に定着することが医学的な実験で証明されています。したがって筆記試験の成績をあげたければよくねむることです。

脳には、さまざまな情報がはいってきて、それらを必要・不必要に分類する「仕分け作業」が睡眠中におこなわれます。寝ているあいだに必要な情報は記憶にのこり、不必要な情報は消されていくのです。

記憶に定着させたいことがあるときには、その情報が脳にインプットされた直後にねむるのが理想的です。まだ情報が新鮮なうちに睡眠で情報を脳にやきつけるのです。このことは、運動能力の取得についてもいえます。野球やゴルフなどでフォームを身につけたかったら練習をしてすぐにねむるのがよいです。運動技術が効率よくアップできます。

またストレス解消についてはつぎのように解説しています。


眠ることはストレスを解消すること。(中略)

睡眠中、脳からはさまざまな睡眠促進物質が放出されます。

そのうちのウリジンと酸化型グルタチオンという物質は、ストレスで披露し傷ついた脳を修復するのに役立ちます。(中略)

簡単にいえば、ウリジンと酸化型グルタチオンによって脳の神経細胞が「元気」になり、ストレスも吹っ飛ぶ、というわけです。


ストレス解消には寝るのが一番です。よくねむってストレスとおさらばしましょう。

快眠のためには、朝おきる時間をきめておくことが必要だそうです。朝おきたら太陽の光を存分にあびて、体内時計(生物時計)に朝が来たということをつよくアピールすることを毎日つづけていると「快眠習慣」が身につきます。



▼ 引用文献
山寺亘著『仕事につかれた人の薬を飲まない快眠法』ぱる出版、2010年10月