日々の生活のなかに仮眠をとりいれると、脳をリフレッシュできるだけでなく、発想力をきたえることができます。

茂木健一郎さんの『脳が冴える快眠法』の第05章では、ふたたび脳をフレッシュな状態にする短時間仮眠をすすめています。




短時間でも仮眠することによってそこから目覚めて活動するときの脳の状態というのは、朝と似たハイパフォーマンスな脳状態をつくり出すことができるということです。(中略)

仮眠というのは、疲労を取るだけではなく、クリエイティブな発想力を鍛えることができるのです。


すぐれた多くの偉人に仮眠の習慣があったことが知られています(注1)。どれだけ熟睡しても日中ねむくなるのは、ごく正常な体内時計のリズムですので「睡眠不足かもしれない」とかんがえる必要はありません。

戦略的な仮眠のタイミングとしては、仕事に支障をきたさないお昼休みなどの15〜30分程度を利用するのがもっとも現実的です。机のうえでうつぶせになるか、イスやソファーにもたれて寝るのが一番いい方法であり、体を横にして気持ちいい姿勢で眠らないことがポイントです。

脳科学の研究により、睡眠や「パワーナップ」は学習能力を高める効果があることがわかってきました。「ナップ」とは昼寝とか仮眠という意味です。そして勉強したあとに睡眠をとるだけでなく、勉強をする前にも睡眠をとると脳がかわいたスポンジのようになり、あたらしい情報を吸収する用意ができるとのことです。

また仮眠をとる約30分前にコーヒーや玉露茶をのんでおくと、仮眠からすっきり目覚めることができます。これを「カフェイン・ナップ」といいます。カフェインは飲んでから約30分後に効果がでてきます。

コーヒーが苦手な人には玉露茶がおすすめです。飲み物(100ml)中のカフェイン含有量はつぎのとおりです。
  • 玉露茶:160g
  • コーヒー:60g
  • 紅茶:30g
  • 煎茶:20g
  • ほうじ茶・ウーロン茶:20g

以上を参考にして日々の生活のなかに仮眠をとりいれ、発想力をきたえていとくよいでしょう。


▼ 参考文献
茂木健一郎著『脳が冴える快眠法 人生がうまくいく「質の高い睡眠習慣」のつくり方』日本能率協会マネジメントセンター、2013年4月30日 

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▼ 注1:すぐれた偉人の仮眠・睡眠の例
  • ナポレオン:1日3時間しかねむらなかったといわれていますが、昼寝の習慣がありました。
  • エジソン:典型的なショートスリーパーだったといわれていますが、毎日しっかりと昼寝をしていました。
  • ダリ(画家):作品のヒントをえるためにおもしろい仮眠をとっていました。その方法はつぎのとおりです。椅子にすわりならが指にスプーンをはさみ、すぐ下の床に銀食器の皿をおいておき、ふかい眠りに徐々にはいっていくと、スプーンが自然に手からおちて皿にあたって大きなおとをたてるので目がさめます。そのときにうかんだインスピレーションを作品のヒントにしていました。
  • レオナルド=ダ=ビンチ:4時間ごとに15分ずつの仮眠をとっていました。
  • チャーチル(政治家):毎朝8時におきて午前3時に就寝する生活をつづけていて、昼寝を毎日かかしたことはありませんでした。
  • 湯川秀樹:仮眠の習慣がありました。ノーベル賞の受賞対象となった中間子理論をおもいついたのが、ちょうど寝入りにはいる間際だったというエピソードがあります。また夜の就寝前にはメモ帳と鉛筆を枕元においておき、ウトウトしているときにひらめいたアイデアなどをかならず書きのこす習慣がありました。
  • 福沢諭吉:昼夜をとわず書を読んでいたので、ねむければ机に突っ伏して寝るか、床の間を枕にして寝ていました。
このように仮眠と睡眠には、アイデアや発想をえるために大きな効果があることがわかります。