博物館などにいって、情報を物にむすびつけてファイルしていく(記憶していく)と学習効果が飛躍的にあがります。

東京・池袋にある古代オリエント博物館で特別展「世界の文字の物語 -ユーラシア文字のかたち-」が開催されていました 。会場にいったら、博物館の研究員によるギャラリートークをやっていました。約1時間にわたって展示品を実際にみながらくわしい解説をきくことができました。

研究員は、手ぶらでやってきてメモや資料はどは一切みないで、展示品だけをみながらつぎつぎに解説をしていきます。さすがです。研究員は、その展示品に関する情報を整理しまとめて記憶していて、その展示品をみるだけで膨大な情報(記憶)をひっぱりだして(想起して)アウトプットすることができるのです。つまり展示品と膨大な情報とがむすびついてひとまとまりになっているのです。

このようなひとまとまりのものを「ファイル」よんでもよいでしょう。研究員は、それぞれの展示品ごとに情報のファイルをつくって記憶しているのです。記憶するとはファイルすることです。そして展示品は、そのファイルのなかにある情報をひっぱりだすインデックス(検索)の役割をはたしています。

膨大な情報をそれぞれの物にむすびつけて記憶し、一方で、物をみて情報を想起しアウトプットできるという仕組みがここにはあります。このファイルの仕組みをモデル(図式)であらわすと図1のようになります。ファイル(情報のひとまとまり)は球でモデル化しています。

160713 物
図1 ファイルの仕組み


物と情報とがむすびついてひとまとまりになっていて、物は、ファイルの「見出し」としての役割をはたしています。見出しというと普通は言葉をつかいますが物をつかってもよいのです。

このようなことは、博物館がすきなひとは経験的におこなっていることですし、あるいは博物館にかぎらず、自分のすきな物を見ただけでべらべらしゃべりだす人はよくいます。人は、すきな物があると苦労なく自然にはなしだすものです。ここには、「物が情報をたくわえる」とでも形容できることがおこっています。

自分なすきな物をつかってこのようなファイルづくりを徹底的にやってみるとよいでしょう。学習にもつかえるすぐれた方法です。


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