今回は、川喜田二郎著『発想法』の第 III 章「発想をうながすKJ法」から、第3場面「KJ法AB型による文章化」「 叙述と解釈をハッキリ区別せよ 」「 ヒントの干渉作用 」(94-111ページ)について解説します。
まず、要点をピックアップします。
KJ法AB型による文章化図解から文章化に移るには、書き初めは、熟慮した図解上の位置から始めるのがよい。叙述と解釈をハッキリ区別せよ文章化するときの根本的な注意は、「叙述と解釈とを区別すること」である。ヒントの干渉作用些細なヒントをバカにしてはいけない。むしろそれを、支えになったデータとともに、しっかり定着させなければならない。
今回とりあげる「発想をうながすKJ法」の第3場面は、第2場面でつくった図解の内容を文章化する場面です。
この過程を、情報処理(インプット→プロセシング→アウトプット)の観点からとらえなおすと次のようになります。
インプット:図解を見る
プロセシング:文章化の構想をねる
アウトプット:文章を書く
ここでも、おこなっていることは情報処理であり、情報処理をつよく意識することが大切です。
次に、これらについて詳説します。
1. インプット:図解を見る
- 文章化のために、つくった図解を見なおして味わいます。
2. プロセッシング:文章化の構想をねる
- 書きはじめる箇所(島)をきめます。
- ひとつの島は、ひとつの節あるいは段落になります。
- 2番目、3番目と、書いていく順序をきめます。
3. アウトプット:文章を書く
- 要旨を書く場合は、大チームの表札すべてがうまくつながるように文章化すればそれが要旨になります。
- 細部まで文章化する場合は以下のようにします。
- 最初の島の内容を文章として書きあらわします。
- 大チームの表札が、その節あるいは段落の結論になります。
- ひとつの島について書きおわったら、隣接するちかくの島へうつります。
- その島についても書きおわったら、隣接する次の島へと順々に書いていきます。
- たとえ話や実例を挿入してもかまいません。人々は、たとえによってコミュニケーションをしています。表現は、類似なパターンであらわすと効果的です。
- 文章化は、図解のもっている弱点を修正する力をもっていて、図解化と文章化はたがいに他方を補強する役割をはたします。
- 図解のときはわかったようにおもえていたことが、文章化すると話がうまくつながらないことがありますが、このようにこまったときこそあたらしいアイデアが飛び出すときです。アイデアはメモしておきます。
- 叙述(事実)と解釈(仮説)とを区別して書きます。
- その解釈の根拠が、データに正直に根差した発想であることが重要です。
- 文章化のためにひろいだされたデータ群をよくを見ていると、「データがかたりかけてくる」ことに気がつきます。
- アイディアを促すような基本的な1小チームのデータ群のことを「基本的発想データ群」とよびます。
- 些細なヒントをバカにせず、その支えになったデータとともにしっかり定着させます。
- 図解から文章化へとただしく移行していくと、干渉作用の累積効果によって、出るべき仮説があたかも自然に成長するかのように生まれ出ることになります。これが文章化のもつ力です。
- 小データ群に対しては、鮮明な分析を加えます。
- 発想法の過程は全体としては総合化の方法ではありますが、その中で分析過程を拒否しているのではなく、「どの方向に分析を進めるべきか」に暗示をあたえるのが発想法です。
文献:川喜田二郎著『発想法』(中公新書)中央公論社、1967年6月26日
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