理科の基本を身につけるためには、情報処理をすすめてファイルをつくるように学習するとよいでしょう。

湯村幸次郎著『図でわかる中学理科』(1分野[物理・化学]&2分野[生物・地学])(文藝春秋)は、 わかりやすい図をつかって理科を理解し記憶していく参考書です。理科の基本を身につけるためには図(イメージ)をつかって全体像をとらえてから、言語で詳細を確認するという方法をつかうとよいでしょう。本書は、中学生の理科学習に役立つことはいうまでもありませんが、大人が、理科の基本中の基本を体系的に復習するためにもつかえます。


本書の基本的なつかい方は下記記事のとおりです。
要約図を想起して書きだす - 湯村幸次郎著『図でわかる中学理科』(1)-  >>

各単元を理解し記憶するときには、心のなかに各単元をファイルするようにします。
各単元を心のなかにファイルする - 湯村幸次郎著『図でわかる中学理科』(2)-  >>




理科の学習を効果的にすすめるために、情報処理とファイルの仕組みとつかい方についてあらためてここで整理したいとおもいます。

『図でわかる中学理科』を見たり読んだりすることは情報をインプットすることです。理解したり記憶したりすることはプロセシングです。要約図を書きだすことはアウトプットです。この〈インプット→プロセシング→アウトプット〉は情報処理ということができます(図1)。

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図1 情報処理の仕組み


情報処理を1回おこなうたびに、1個のファイルが形成され、それは心のなかに保持されます(記憶されます)。そして書きだされた要約図はアイコンとしてつかえます(図2)。アイコンは、各単元の本文(情報の本体)を理解し要約したものですが、一方で、各単元の本文(情報の本体)をおもいだすためのとっかかりとしてもつかえます(注1)。

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図2 ファイルの仕組み


形成されたファイルは必要なときに再利用することができます。再利用するということは、心のなかに保持されている情報を想起し、あらためてアウトプットするということです。筆記試験当日には実際にアウトプットしなければなりません。

しかしこのアウトプットがうまくできない場合が多いのです。
「せっかくおぼえたのにおもいだせない」
こんな経験をした人は多いとおもいます。

記憶とは結局は想起ができるようになることです。そこでアウトプットによって作成されたアイコン(要約図)が役立ちます。まずは、本書の目次だけを見て、それぞれの単元のアイコン(要約図)がおもいうかぶかどうかためしてみます。おもいだせない場合はそのページをひらいて確認します。

また自分のノートにアイコン(要約図)が順番にすべて記載されているのであれば、その図だけを見ることによって、テキストの説明が大体おもいだせるかどうかチェックします。要約図だけを見て、ファイルの中身(情報の本体)を想起できるように練習するのです。


 

情報処理とファイルの方法はこのように一体になって活用した方が効果があがるといえるでしょう。また情報処理とファイルは普遍的なものですので、理科とはかぎらずあらゆる分野において利用が可能です。

情報処理とは結局は、何を書きだすか、何をアウトプットするかということであり、そのアウトプットされたものがファイルのアイコン(あるいはファイル名や見出し)になるのですから、アウトプットが非常に重要であることがわかります。


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情報処理のしくみを理解する - 湯村幸次郎著『図でわかる中学理科』-


▼ 注1
情報の本体からアイコンをつくる作業は情報を要約するということであり、これは情報のボトムアップです。これに対して、アイコンから情報の本体を想起するということは情報を検索するということであり、これは情報のトップダウンです。
  • 情報の本体→アイコン:要約、ボトムアップ
  • アイコン→情報の本体:想起、検索、トップダウン
 
▼ 引用文献
湯村幸次郎著『図でわかる中学理科(1分野[物理・化学])』(改訂新版)(中1〜中3:未来を切り開く学力シリーズ)文藝春秋、2010年2月25日
図でわかる中学理科 1分野(物理・化学)―中1~中3 (未来を切り開く学力シリーズ) 

湯村幸次郎著『図でわかる中学理科(2分野[生物・地学])』(改訂新版)(中1〜中3:未来を切り開く学力シリーズ)文藝春秋、2010年2月25日
図でわかる中学理科 2分野(生物・地学)  (未来を切り開く学力シリーズ)