理科の学習では、理科の各単元を要約・モデル化した図を記憶し、想起して書きだせるようにするとよいです。

湯村幸次郎著『図でわかる中学理科』(1分野[物理・化学]&2分野[生物・地学])(文藝春秋)はとてもよく売れている中学理科の参考書です。 わかりやすい図をつかって理解し記憶していくところに最大の特色があります。


目 次
物理

 第1章 光と音
 第2章 力と圧力・浮力
 第3章 電流と電圧
 第4章 電流のはたらき
 第5章 力と運動
 第6章 仕事とエネルギー

化学
 第1章 身のまわりの物質
 第2章 化学変化と原子・分子
 第3章 イオン


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本書はつぎのようにつかいます。

  • それぞれの単元ごとに、ひととおり目をとおして内容を理解します。
  • その単元で、「転写」と表示されている図を自分のノートにうつして記憶します。
  • 今度はテキスト(参考書)を閉じて、その「転写図」をノートのあたらしいページに再現してみます(書きだしてみます)。
  • もうこれ以上おもいだせない、書きだせないとおもったらテキストをひらいて「転写図」を確認します。
  • ふたたびテキストを閉じて、「転写図」のつづきを書きだします。
  • これらをくりかえして、テキストを見ないで「転写図」をおもいうかべて、全体が書きだせるようになるまで練習します。


これらを、人がおこなう情報処理の観点から整理するとつぎのようになります。

  • テキストを見ることは、自分の意識(心)の内面に情報をインプットすることです。
  • 「転写図」をノートにうつすことは、情報を記銘することです(注1)。
  • テキストを閉じて、「転写図」をおもいうかべることは、意識(心)のなかに保持された情報を想起することです。
  • テキストを閉じて、「転写図」を書きだすことは情報をアウトプットすることです。


この過程を図式化(モデル化)すると図1のようになります。

160126b 記憶法
図1 情報処理と記憶法


  • インプットとは、テキストを見ることです。
  • 〈記銘→保持→想起〉はプロセシングです。
  • アウトプットとは図を書きだすことです。

〈記銘→保持→想起〉は記憶法の過程にほかなりません。このように記憶法は、情報処理(インプット→プロセシング→アウトプット)の一環としてとらえることができます。

練習のポイントは、テキストを見ないで、おもいだしながら図が書きだせるようになるところにあります(注2)。記憶法とは、結局は想起ができるようになることです。実際、筆記試験のときにはテキストを見ることはできないので、想起しながら解答しなければなりません。




『図でわかる中学理科』(1分野&2分野)は、中学理科(中1〜中3)を全部で 80 の図にまとめていています。図は、各単元を要約しモデル化したもので、大変わかりやすいです。このような図をつかうと、視覚的・構造的に各分野を理解することができます。

本書をとおして練習した記憶法や情報処理の方法は、高校生になっても大学生になっても社会人になっても役立ちます。このようすぐれた参考書に中学生のときに出会えたらどんなによかっただろうにとわたしもおもっています。


▼ 関連記事
要約図を想起して書きだす - 湯村幸次郎著『図でわかる中学理科』(1)-
各単元を心のなかにファイルする - 湯村幸次郎著『図でわかる中学理科』(2)-
情報処理とファイルの方法 - 湯村幸次郎著『図でわかる中学理科』(3)-
情報処理のしくみを理解する - 湯村幸次郎著『図でわかる中学理科』-


▼ 注1
意識(心)の中に記銘された図は、しっかり睡眠をとることによって意識(心)のなかに保持されるようになります。

▼ 注2
テキストを見ないですべてを書きだすにはややむずかしい図もあります。その場合にはまずは、概略が書きだせるようになればよいです。詳細よりも、全体的なイメージをつかむことを優先するとよいでしょう。

▼ 引用文献
湯村幸次郎著『図でわかる中学理科 1分野(物理・化学)』(改訂新版)(中1〜中3:未来を切り開く学力シリーズ)文藝春秋、2010年2月25日
図でわかる中学理科 1分野(物理・化学)―中1~中3 (未来を切り開く学力シリーズ)

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