事実をみて何かを想像できるようになるためには、イメージを自由にうごかす能力をきたえておくとよいです。イメージ訓練「増殖法」では、たくさんの対象を自由にゆたかにうごかします。

東京都美術館で、「生誕300年記念 若冲展」が開催されています(注1)。

今回は、展示されていた作品のなかの『動植綵絵』(どうしょくさいえ)から『蓮池遊漁図』(れんちゆうぎょず)をみて、イメージ訓練「増殖法」(注2)をやってみました。具体的にはつぎのようなイメージをえがいてみました。
 

アユが9匹、オイカワが1匹、のべ10匹の魚が悠々とおよいでいます。

魚は卵を生んで、卵から稚魚がかえって、稚魚が成長します。その速度はとてもはやく、はじめは10匹だった魚があっという間に20匹になります。その20匹の魚からまた稚魚がそだち、たちまち40匹になります。そしてその40匹から80匹、80匹から160匹・・・、1000匹、2000匹・・・、やがて、かぞえられないくらいの無数の魚で池がみたされます。くるしいです。

すると魚たちは、宇治川を一斉にさかのぼっておよいでいきました。そして琵琶湖に入ります。広々とした空間がひろがっています。もう安心です。


事実をみて何かを想像できるようになるためには、イメージ訓練をして、イメージを自由にゆたかにうごかす能力を日頃からきたえておくとよいでしょう。このような訓練によって心の空間も大きくなるとおもいます。「増殖法」は、たくさんの対象を同時にとらえて処理する練習にもなります。

 


若冲の絵のなかの動植物は生命力がとてもつよく、そもそも、次第に増殖していくかのような感じがします。したがってイメージ訓練「増殖法」をおこなうのは自然な流れといえるでしょう。

若冲の『蓮池遊漁図』では、花がさいたハスのあいだを9匹のアユと1匹のオイカワが悠々とおよいでいます。この絵では、アユとハスという通常ではみられない組みあわせにくわえて、陸地から見ているのか池の上から見ているのか池の中で見ているのかがわからず、三次元空間ではない空間がえがかれていて、わたしたち人間が知っている通常の次元(三次元)をこえた高次元をあらわしていると見ることができます。おもしろい絵です。


▼ 注1
特設サイト「生誕300年 若冲展」
東京都美術館のサイト

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▼ 注2:参考文献
栗田昌裕著『心と体に効く驚異のイメージ訓練法 - 体力・活力・気力・記憶力が一気に全開!-』(広済堂ブックス) 廣済堂出版、1993年8月1日
Amazon:心と体に効く驚異のイメージ訓練法―体力・活力・気力・記憶力が一気に全開! (広済堂ブックス)
※ イメージ訓練の入門書として本書をおすすめします。
※ イメージ訓練「増殖法」は122ページで解説しています。

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