図1 観察により情報をインプットする
言葉だけでわかった気にならずにしっかり実物を観察して、意識の内面に情報を綿密にインプットすることが大切です。
東京・上野の東京都美術館で「生誕300年記念 若冲展」が開催されています(注1)。
会場2階の展示室では「若冲、その精緻な技」がテーマになっていて、彩色画・水墨画・木版画など、若冲のおどろくべき表現技法について知ることができます。近年の研究により、若冲は、前例のない独自の技法も駆使して作品をつくりあげていたことがわかってきました。
若冲の作品は、うつくしい色彩と綿密な描写を特徴としますが、いわゆる写生とはちがいます。若冲の独自な意識がとらえた色彩・形態などが展開されています。
このようなことが実現できたのは驚異的な観察力を若冲がもっていたからです。若冲の表現技法のすごさが解説書などではひときわ強調されていますが、わたしはむしろ若冲の自然観察のするどさにおどろきました。ここまで根気よく見ることがよくできたなと感心せざるをえません(注2)。自然が心から好きで、動物・植物へのおもいいれがあったからでしょう。必要にせまられただけできることではありません。現代でも、自然が本当に好きな科学者は徹底的な自然観察をおこなっています。若冲は、観察したことをどのように記録していたのか。どのような観察記録あるいはフィールドノートをつけていたのかにも興味がわいてきます。
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このようなことを、人がおこなう情報処理の観点から整理するとつぎのようになります。技法をつかって表現することはアウトプット、意識の内面で情報を処理することはプロセシング、自然を観察することはインプットです。
- 観察:インプット
- 処理:プロセシング
- 表現:アウトプット
今回はとくに、観察の重要さを強調したいとおもいます。自然観察にはかぎらず、自分の意識のなかに情報をインプットするときには実物をしっかり見ることが大切です。知識をえるときには、言葉だけでわかった気にならず、実物を観察するようにします(図1)(注3)。
インプットをしなければプロセシングもアウトプットも生じません。適切なインプットをしてこそ情報は処理されアウトプットされます。インプットから何事もはじまるということです。情報を綿密にインプットすることはとても重要なことだといえるでしょう。
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万物が共生する世界へむけて - 若冲展(まとめ&リンク)-
▼ 注1
特設サイト「生誕300年 若冲展」
東京都美術館のサイト
チケット購入
混雑状況の確認
▼ 注2
若冲は、たとえば魚では、鼻の穴にいたるまで詳細に観察して描画しています。また鶏を観察するために自宅の庭に鶏を放し飼いにしていました。
▼ 注3
実物を見ることができない場合は写真や動画を見るようにするとよいでしょう。
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実物を見ることができない場合は写真や動画を見るようにするとよいでしょう。