海外旅行にでかけてびっくりすることがあったら、その背後にある世界を想像してみると旅のたのしみが倍増します。

先日、ネパールを旅行していて地元のレストランで、フライドライス(炒飯)とヨーグルトをたのみ、フライドライスにヨーグルトをかけて食べていたら、同行した日本人がびっくり仰天していました。

ネパールやインドの方では、カレーライスにヨーグルトをかけてよく食べます。フライドライスにヨーグルトをかけて食べることもよくあります。それどころか、普通のライスにヨーグルトあるいはミルクをかけて食べることもよくあります。とてもおいしいです。

ここでは食文化がちがいます。ライスと乳製品をくみわせた食文化が発達しています。これから何が想像できるでしょうか。

このような食文化の背後には稲作農業と牧畜があります。ネパールやインドは半農半牧の世界です。したがってライスと乳製品、さらにこれらをくみあわせた料理が普通に存在します。

ひるがえって日本の食文化はどうでしょうか。日本では、ライスの上に魚をのせて食べます。大局的にみれば日本は半農半漁です。海にかこまれた国ですから。稲作農業と漁労(漁業)の世界です。

ヨーロッパではどうでしょうか。ヨーロッパ人はパンにバターをぬって食べます。ヨーロッパは半農半牧です。しかし稲作農業ではなく小麦農業と牧畜です。したがってパンとバターや、パンとチーズのくみあわせがでてきます。

  • 日本:半農半漁(稲作農業&漁労)
  • ネパールとインド:半農半牧(稲作農業&牧畜)(注)
  • ヨーロッパ:半農半牧(小麦農業&牧畜)

さらに、このようなちがいをもたらすユーラシア大陸の相ことなる気候帯も想像することができます。

外国に行くとびっくりすることがたくさんあります。そのときにはその奥にあるもの、背後の世界を想像するようにすると旅のたのしみが倍増するでしょう。


▼ 注
実際には、ネパールやインドの西部地域にいくと、稲作農業から小麦農業へうつりかわっていく地帯をみることができます。インド西部では小麦農業と牧畜のくみあわせになっています。大局的にみると、ユーラシア大陸の東側は稲作農業、西側は小麦農業であり、インドあたりが両者の境界、遷移帯になっています。したがってインド人は伝統的・歴史的にパンもライスも食べます。インドの一般的なパンはナンとよばれます。